天使と悪魔の契約
志水命言
1(始)
雨が降っていた。私の世界は暗過ぎる雲に覆われていた。この世界を睨んで、星座すらも冷たい目で見つめていた。そんな時、雫がひたっと落ちた……。
「助けて……」
手が見えた。今にも儚くそれは消えてしまいそうで、気付いた時、私はその手を掴んでこう言った。
「友人になろう」
彼は独りで苦しんでいた。黒い黒い鎖に身体を縛られ、鋭い茨に心を囚われていた。
「大丈夫だよ」
私は彼を救うために、何度も何度も言う。物語を語り続けるように話した。その縛りを、少しでも忘れられるように。だが、その裏で苦しみ続けるのは私だった。助けを求める声が聞こえるのは……私が、癒されたかったからである。他人を癒し続ける反面、傷付いていたのは私。知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます