第25話 ギスギスだけど微笑ましい?

「はぁ……はぁ、はぁ……ダンジョン配信見てると簡単そうだったのに……結構つらいっスね。魔物と戦うのって」


 そう言って大輔君は息を切らせてその場に座り込んだ。


「お疲れ様」


 そういって俺がニッコリと笑うと、後ろから切りかかってる気配があった。

 ん?これは美玖さんか?


 何故切りかかってくるかわからないが……とりあえず最低限の動きで避ける。


「避けるな!」

「避けるよ」


 そういってジト目を向けると彼女は、ふんっと鼻を鳴らした。


「あんたね、私が二体を惹きつけるって最初に言ったでしょ!」

「そうだね。言ってた」

「だったら貴方は二人と一緒にバッタと戦っていなさいよ!」

「うーん、そう言われてもね。二人だけで何とかなると思ったし……それに………」


 そう言って美玖ちゃんを見る。

 傷だらけ……とは言わないが、切り傷が多い。

 見てたかんじ戦い方も結構危なっかしかったし、何ていうか……戦い慣れてないって動きだったし……


「……君一人で二体同時に相手するの、正直厳しかったでしょ?」

「っ……馬鹿にして!」

「馬鹿にしてないよ」


 ただ事実を言っただけさ。

 

「……一応チームなんだから。ちゃんと周りの仲間に頼って――」

「レベル1の上にスキル無しの雑魚に言われたくないわ!」


 そう言って睨みつけられる。

 えぇ……


「確かに俺は、レベル1でスキル無しで、一般的には雑魚って言われてるだろうけどさ……」

「そうでしょ?だったら……」

「けど君より俺の方が強い。それは分かるだろ?」

「あ、あれは……相性が悪かっただけよ」

「相性が悪かったねー」

「何、文句ある?」

「いや、なんも?」


 そう言って肩をすくめた……が。

 ……あ、やべ。ここで笑うの逆に神経逆なでするか?


 そう思ったが、もう遅い。

 彼女は俺を見てさらにイラついたように見える。


「いちいち上から目線でイラつく」

「上から目線も何も俺は……」

「ちょっとちょっと、ストップするっス!」


 そう、俺と美玖ちゃんのギスギス感に堪え切れなくなったのか、大輔君が仲裁に入ってきた。


「お二人とも、とりあえず落ち着いてくれっス。一応ここは初心者向けと言っても、ダンジョンの中なんスから」

「そ、そうだよ美玖ちゃん!いつ魔物が来てもおかしくないんだから」


 そう言って加奈ちゃんはきょろきょろ周りを見渡した。


「大丈夫よ」

「大丈夫だよ」


 そう言って俺と美玖ちゃんは同時に言う。


「だってその時は私が守るから大丈夫……」

「だってその時は俺が切るから大丈夫……」


 そう言いかけて互いに目を合わせる。


「ちょっと、真似しないでよ」

「真似してなんかないさ」

「……ぷぷ」


 そう俺と美玖ちゃんが言うと、加奈ちゃんが小さく笑った。


「ちょっと加奈!何笑ってるのよ」

「いや、何ていうか……面白かったからつい……」


 そう言って小さく笑っている。


「面白い要素あったか?」

「正直微笑ましいなとは思ったっス!」

「あ、そうなの」

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