片恋

飴傘

片恋

好きだとかいうんじゃなくてただ君の無数の愛の言葉に酔った


通学路の花屋の奥の鉢たちもたまにひっそり売られて消える


かけっこで転んだ子の手を取るように涙目の手を取ってしまった


恋なんて一夜の魔法12時の鐘が鳴ったら友達になる


紙パック洗って干して乾かして私は循環のうちのひとり


何気ない一緒の登校何気なく一緒に見てた近所の朝顔


いつものように寝癖に手を伸ばし かけて指摘に留めとく朝


凍るのは分子の動きが止まるから根拠が欲しいすべてのものに


毎朝会うたびにお花をくれるのは私が仏壇だからでは、ない


半分このためのパピコ 臆病な私にこれだけの価値はある?


見つめられても見つめ返していなかった初めて君の目の色を知る


向日葵は太陽が好き 太陽は向日葵が好きとは限らない


イヤホンを片耳もらう 踏み出せば世界はシェアをしやすい形


いつまでも水を冷やせば凍るように私を選んでくれるだろうか


好きじゃなくて寂しいんじゃない? SNSの世界に私の正解は無い


人間はとても単純 必要とされる分だけ必要になる


しおれてもまた新しく増えていく花瓶に入り切らない花々


世界中の分子構造が変わっても君を愛していられる自信


寂しいの緩和でもいい 寝転んで見る幾光年も前のひかり


久しぶりに君の手を取る友達じゃなくて恋人の繋ぎ方

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

片恋 飴傘 @amegasa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画