第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句】二十句部門

とりまりこ

空咳は西瓜のためにとつておく

空咳は西瓜のためにとつておく


白鳥の家は各所へ広がりぬ


蟻止まる蟻の上へと蟻が往く


初秋の馬が静かに車見る


デッサンと模写繰り返し夏過ぎる


スリッポンくねらせてゆく盆踊り


領収書印字の擦れ夏来る


パトカーを停車せしめる猫の恋


ミニマムを追求した果て雪女郎


新品の薬缶新しき入梅


夏蝶の常におんなじ角度たる


三伏へ蔓は淡々にじり寄る


雲の峰乗つて泳いで駆けまわる


桜桃忌ひたすらに駆けて帰り着く


マネキンを支ふ棒から夏の夜


検索の花と花野へ向かひたる


浮き輪より人のフォルムは窺へず


触りたき丸みがあつて葱坊主


短夜や配信の朝と混じりあふ


岩灼くる鹿の澄ました顔で退く

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第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句】二十句部門 とりまりこ @torimariko

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