新しい命~この世の終わりのその後2~

桜水城

第1話

「おねえさんのすべてをぼくにみせて」

 

 半裸の私を組み敷いて、彼の放つ優しい言葉が、甘い響きをもって私の身体を呪縛する。

 そこにいるのはもう、可愛いだけの少年なんかではなかった。

 


 秋になった。高く澄んだ空に、鳥のさえずりが戻ってきている。ルゥと私は、近くの森を散策に来ていた。秋の味覚……栗やクルミやキノコが採れることを期待して、結構大きなカゴを背負ってきたのだが、収穫はそれほどではなかった。

 

「うーん、おねえさん、どうやらさきをこされちゃったみたいだね」

 

 秋の味覚は、どうやら大半がこの森に戻ってきた動物たちのお腹に収まってしまったようだ。

 私たちが収穫できたのは、ほんの少し……。けれど、贅沢は言わない方が良いだろう。この森に動物たちが戻ってきたこと自体が喜ばしいのだ。それにどうせ、小食の私や、本当は食事を摂らなくても全然平気なルゥに、それほどの量は必要ない。

 

「仕方がないよね。じゃあ、そろそろ帰ろうか。暗くなる前に」

 

「そうだね」

 

 ルゥは軽く頷くと、自然な動きで私の手を取った。最近、スキンシップが増えてきたように感じるのは私だけだろうか。

 そのとき、茂みからガサガサと音がしたかと思うと、この森の主とも言うべき大きな動物が現れた。

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