第一章 4話 汚さと美しさ 王城
「あぁ、すごいな」
昔にこれだけの建物を建てたのもすごいと思うが、同時に昔は手に入りにくかったものを、民から搾取してこれだけのものを作ったのかとも思う。
その時の民が幸せかどうかかは分からないが、今は存在しない王族社会であるということは、何かを物語っているだろう。
彼女はきっとそんなこと考えたりしないんだろうな。
「私、何かあのあたりのデザイン好きなんですよね、可愛くないですか?」
と言って城の右側の部分を指さした。
デザインはよく凝っており、
当時のデザインの結集なのだろう。
可愛い…
「ん、ん〜、そうなのかな
僕にはピンとこないかも」
「そうですか…」
「いや、でも可愛いような気もするよ、うんうん」
一様合わせて意見を言ってみた。
なにを気を使っているのだろう。
「これ中にも入れるんです、良かったら入ってみませんか?入場料はかかりますが」
「ああ、そうだな、僕が払うよ」
普段気にもすることもないが。
これだけの造形なんだ中も気にならなくもない。
造形を見たり、それから受け取れられる文化を見たりするのは正直嫌いじゃない。
「ありがとうございます、、、」
「気にしなくていいよ、色々案内してもらっわて払わない訳にはいかないよ」
「そんなん元はと言えば私が」
「それも充分返してもらったよ」
それにあれは成り行きだった。
彼女が本当はお礼をする必要もないのかもしれない。
でも彼女はそれでは気がすまないのだろうが。
「そうですか、、、、」
「だからここは」
そう言うと彼女はゆっくりと頷いた。
「分かりました、じゃいきましょ
絶対元分は楽しめますから!」
「あぁ、いこう」
何だか彼女が少し楽しそうに見えた気がした。
こんな観光を誰かとするのも思い返せばしばらくぶりだな、
たまにはいいものだ。
門を潜り、城の中へと入っていく。
門もかなりでかい。
人が30人は一度に通れるぐらいの大きさだ。
その門もすごい装飾がついている。
今の現代の金持ちの家の門ですらこんなに豪華な装飾はしないだろうと思うような。
門を通ると、城の玄関までの間に
広大な庭が広がっていて、玄関までに歩いて2−3分ぐらいはかかる。
こいうところを見るといつもどんな暮らしをしているのかと思ってしまう。
広すぎて家を出るまで億劫になったりしないのだろうか。
庭にはどこでも見たことない。
彩りのキレイな花が咲いていた。
昔同じ花が咲いていたのかは知らないが、今は入場料でこの城の大半を維持してある
から、手入れがいきとどいているのだろう。
観光客が多い。
キレイな風景を皆思い思い眺めている。
民を虐げていた場所が今は民を喜ばせる場所にと思うと少し考え深い。
彼女は嬉しいそうに花を眺めていた。
ふとこんなことは聞くことでないかもしれないが、
思ってしまった。
そして、聞いていた。
「もう見たことあるだよな、また見て飽きたりしないのか?」
「しないですよ、宝石とか美しいキレイなものを見て、一度見たら飽きますか?もう二度と見ないですか?」
彼女はそいう考えで生きているのかと思った。
「いや、そんなことはないかな」
「それと同じです」
そいうものか。
「そうか、そいうものか」
「それに、今日は嬉しい事があったので」
助けたことだろうか。
些細なことで、些細なきっかけで、
たまたまそうなっただけなのに、
「そうだな、楽しい日にしよう」
せめてこう言うのが精一杯か。
まぁただ彼女が楽しそうにしているようなのでそれで良いかと思った。
今日は悲しい目にあったわけだし、
彼女の過去がどうであれ、
今楽しく過ごしてくれているのを見ると何故か安心した。
そんな親密な関係でもない。
今日知り合ったばかりなのに、
で、誰が望んだでもないが、
まぁそいうもんだろう。
時間は関係ない、立場も出会いも。
少し振り返ってそんなことを思った。
「はい!お城の中に入りましょう」
「あ、そうだないこう」
彼女はスキップで城へと入っていく。
そのあとを付いて行く。
大きな玄関のドアが開いてる。
そこを通ると、
城の中はこれでもかというほど
色々装飾がされていた。
室内が広がっていてる。
「この地は金属加工が有名な産業なんです、色々集めた金属加工の装飾品が飾れているんです」
彼女は壁に飾れた装飾品を指さして言った。
「確かに、町中で金属加工の装飾品が売られているのを見かける気がする」
「ほんとに、全然街を回ったことないですね」
「何回か来たことはあるんだか、僕が見て回ってもね、何を見ればいいか分からないし」
「勿体ないですよ、何でもいいんです、色々見て楽しむのがいいじゃないですか」
「まぁそうだな、そう言う部分が薄いのかもしれない」
「私が教えてあげますから、色々な見る楽しみを」
「あ、あぁ頼むよ」
案外乗り気ではなかったが、
なにかこれもこれで自分の成長に繋がる、大事なことかもしれない。
人間、自分の見たいものやしたいことしか基本的にやらない。
自分の意志以外が介入しなくてはと思った。
「任されました」
その後僕らは城の中奥へと進んだ。
城の中はいくつもの部屋があり、
その一番奥には、王の間があった。
とても大きな装飾の数々に、
上座の中心には王の椅子が置かれていた。
「王、イスカンダルの椅子です」
とつもなく装飾された椅子。
世界に他にはないだろうと言ったデザイン。
そして、なんというか少し禍々しい。
「なんだか、威圧的だね」
「見るとなんか圧巻ですよね」
「ああ、そうだね」
王の威圧感を演出しているのか?
民を従えさせるために。
勝手にそんなことを感じた。
その隣には、なんだか物騒な感じがする棺が置かれていた。
「あれは?」
僕は指を指して彼女に聞いてみた。
「あれは、当時の拷問器具のようなものだとか、なんでもとっても頑丈で衝撃に強いらしいです
なので、入れられたら最後そのまま、あの中で朽ち果てるのだとか」
やはり、そういった恐ろしいものも存在しているのか。
恐らく本当に使っていたのだろうな。
何となく見て使った形跡が見受けられる。
「なかなか残酷な物を生み出すものだね」
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