さかしま
遠久野千紘
さかしま
終焉にドーナツの穴朧めく
純白に秘めし暗部や猫柳
佐保姫やぬかるみ深き帰り道
亀鳴くやガードレールの無い水路
躁鬱の少年夜じゅう春田打つ
療養もキスも卯の花腐しかな
サルビアの茎あかあかとやがて死ぬ
楽園が宿るモローのサンドレス
少女の吐息や優曇華怯えけり
朴訥な鎖骨は失せて夏果てぬ
家具すべてまるみをおびよ秋茜
蓮の実や見つめ合いつつ抉りけり
竜田姫先から赤くなりにけり
聖体の秘蹟や鮭は斃死せり
吐瀉物を受ける重さよそぞろ寒
冬の鵙日々の糧にも芸術を
枯蔓を払いのけては愛し合う
累々と肋骨のごと冬の雲
山眠る語りえぬゆえ沈黙す
開闢にボードレールの波の花
さかしま 遠久野千紘 @Chihiro_Tokuno
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます