　咲ちゃん、まだ時間あるし夜までお話しようよ。これから暮らしていくんなら、お互いのこともっと知っておかなきゃじゃない？　俺は咲ちゃんのことちょっとだけ知ってるけど、咲ちゃんは俺のこと全然知らないでしょ？

　……。

　何から話したらいいか分かんないよね。ごめんね。俺友達と少ないから、人と話すのあんまり得意じゃないんだ。

　……。

　えー、あ、もしかして緊張してる？　大丈夫だよ俺もだから。咲ちゃんみたいに可愛い子家に入れるの初めてだからさー。女の子とお風呂入るのも初めてだったし。明日も入ろうね。ね？

　……ぃ。

　嬉しいなぁ。そうだ、色々質問していいかな。もっと咲ちゃんのこと知りたいから。難しかったら答えなくてもいいけど、できるだけ答えてほしいな。後で俺のことも質問していいよ。じゃあ始めよう。あ、答える時はちょっと声大きくしてね。音入んなかったら困るから。

　……わかった。

　うん。じゃあまずはー、もう知ってるけど名前からいこうかな。こういうのって雰囲気大事だから。はい、改めて名前と年齢を教えて？

　や、山本咲。十歳で、す。四年生。

　ありがとう、いい名前だね。十歳……最近の子って発育いいよね。咲ちゃん十歳にしては胸大きくない？　さっきお風呂で見たけど、可愛かった。あ、ごめんこれセクハラ？　気を付けるね。俺こういうとこあるかもー。許してね。

　……はい。

　じゃあ次ね。好きなものと嫌いなものを教えて？　なんでもいいよ。食べ物でも、遊びでも。人でも……いいし。

　甘いお菓子が、すき。ぬいぐるみも、すき。好きな人は、いない、けど。嫌いなのは……ぱぱ。

　え、お父さん？　お父さんのこと嫌いなの。おせっかいだとか？　まあそういうこともあるよ。あんまり嫌いにならないであげて。……お菓子ねー。今度たくさん買っておくよ。

　……ん。

　あと聞きたいことはねー、そう。あれ。家にさ、帰りたい？　これは聞いとかなきゃなーって思ってたんだ。

　え。うん。帰りたいよ。……帰して、くれるの？

　帰すわけないじゃん。ここで帰しちゃうんなら連れてきた意味ないでしょ。聞いただけだよ、聞いただけ。俺のしたいこと全部終わったら帰してもいいけど、咲ちゃんやらないでしょ。

　なにしたらいいの。なんでも、するよ。わたし。

　なんでもするかー。本当に？　咲ちゃん、簡単になんでもなんて言っちゃダメだよ。大人が使うなんでもっていうのは、本当になんでもなんだよ。

　うん。するよ。なんでも。帰して、くれるんでしょ？　なら私なんでもす

　じゃあ俺とキスしてよ。

　え。

　ほら、できないでしょ？　そんなもんなんだって。なんでもの意味、分かった？　このままじゃずっと家に帰れないね。諦めよっか咲ちゃん。

　――。

　あ、一旦とめまーす。じゃ咲ちゃん、今度はお

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい