第14話 温海は駄菓子で悩む

わたしは自分の定番を買って2人より先にいただいてる。

店の前に座れてお菓子を広げられるようになってスペースがあるけど

普段はこんな事はしないけど、駄菓子屋さんだとむしろこっちの方がいいよね。


 プール帰りでお腹が空いてるけど、こういう時に食べる駄菓子っていいよね。

うまい棒やおやつカルパスは塩分があるし、ヨーグルって何で作ってあるか

わからないけどヨーグルトみたくてなんか好き。

そして、ここに炭酸飲料を飲む……うん、いいよねこの感じ。

そして正に夏休み……ってまだ夏休みじゃないけど。


しかし、小学生の時はこれだけあれば良い思ってたのに、今だと物足りない。

わたしもそれだけ成長したって事だよね。

でも朝食べてから、今まで何も食べてないから駄菓子では物足りないか。

小学校の前の駄菓子屋さんはお好み焼や焼きそばも売ってたけど、ここは駄菓子だけ。

なので、食事らしいものはないんだよね。


「うん、これは追加だな」


わたしは食べ終わった物をごみを店の前のごみ箱に入れるて再び店に入る。

わたしは2巡目だけど、店の中では温海がまだまだ悩んでる。


「わたしは~決まったけど~温海ちゃんはまだ~?」

「駄菓子と言っても、色々あって意外と悩むわね」


夕は買う物が決まってたけど、温海が決まらないから買わずに待っているみたい。

ただ、夕も


「わたしは~先に買って文乃ちゃんと食べるよ~」


と流石に待ちきれなくなった。


「お客さん、お悩みですか?」

「うん……種類が多くてなかなか決まらない……って文乃!?」


後ろから声をかけると、温海は驚くけどいい反応だな。

ただ、温海はわたしとわかると、またどれにするか悩みだした。

そして夕はお金を払って、わたしに気付く。


「あれ~文乃ちゃん~もう食べたの~?」

「うん、あの量じゃすぐに食べきったから、追加しに来た」

「そうなんだ~」

「夕は結構買ったけど、同じのが多いね」

「同じお菓子の~味違いを沢山買ったよ~あとジュースもね~」


量は多いけど、同じお菓子の味違いをそれぞれ5つぐらい買ってる。


「わたしはどうしようかな~。たまには普段買わない物でもいいかな」


わたしは普段買わないものを買ってみよう。

たとえば、さくらんぼ餅やきな粉棒やあんずやすすもも。

わたしは定番で買った物で固定してるから、1度決めると他は買わないんだよね。

きな粉はおはぎとか団子は食べるけど、きな粉棒は食べないんだよね。


 さくらんぼう餅は色々ある味の中で、気になっている味。

小学生の時は友達が買ったのを1つつまんだりしたけど、自分では買わないんだよね。

あんずやすももはなんか渋くない?

あと、すっぱいから子供向けでない感じだった。

でも、今はちょっとすっぱいのがわかって来たよ。

あんずはないけど、すもものシロップ漬けはポット入りの物があるから買ってみるか。

そして、きな粉棒とさくらんぼ餅も買う事にして、お金を払った。


 わたしは2巡目に入ってるけど、温海はまだまだうんうん悩んでる。


「温海、適当に買ったら?」


悩みすぎなので、わたしは思わず口を出すけど


「その適当が難しいから悩んでるのよ……」


と温海は余計に悩んでる。


「悩むんだったら、夕のを分けて貰ったら?」


わたしがこう言うと


「あ……それがあったわね!」


と温海もそれがあったか!という表情になった。


「あ~それでいいよ~お父さんも~迎えに来るし~」

「だったら、わたしのも分けてあげるよ」

「それもいいわね……あ、ありがとう、二人共……」


温海は照れるけど……そんなに悩む事かなって思ってはみたりする。


「それじゃ、外で食べようね」

「わかったわ。でも、立ち食いはお行儀が悪いくない?」

「ちゃんと広げられる所があるから」

「ならいいわ」

「お父さんが~来るから~早くしようね~」


夕のおじさんが来るまで迎えに来るので、早く食べる事にする。


「文乃……ここなの?」


わたしがさっき駄菓子を広げていた所を見るて、温海はえ?って表情をするけど


「さっきの小学生もここに座ってたし、気にしない」

「き、気にするわよ、店の前に座って食べるのよ!?」

「駄菓子屋さんの前だからいいんだよ」

「そういうものだの?」

「そういうもなの。それに、夕は座って買った物を広げてるよ」


夕はわたしと温海が話してるのを気にせず、買った物を広げて食べ始めてる。


「ん~おいしいね~2人共~はやく~」


夕は駄菓子をほうばってニコニコしてるけど、駄菓子はどんどん減っていく。


「温海、早くしないと夕が全部食べちゃうよ」

「わ、わかったわよ」


温海は渋々、座ると夕は


「温海ちゃん、あ~んだよ~」


とうまい棒を温海の口に無理やり入れようとしてる。


「ちょ、夕、あわてないの、言われなくてするから」


温海は夕の手を押さえて、夕の持っているうまい棒を食べるけど

ラブコメならば定番的なエッチネタ的な事も、この2人だとなんかほほえましい。

なんていうか、お母さんが子供に駄菓子を食べさせてるみたいなんだよね。


「駄菓子は惜しいけど……喉が渇くわね」

「そういえば~飲み物を買ってないよね~」

「そうだねー」


わたしと夕は自分で買った飲み物を飲んでるけど、決して見せつけてる訳じゃないよ。


「2人共、わざとしてる?」

「そんな事てないって」

「そうだよ~そんなことしないよ~飲みたいなら~わたしのを飲んでもいいよ~」


夕はそう言って、飲みかけのジュースを温海に差し出すけどお約束の展開ですな。


「な、な、な、何言ってるの、夕、飲みかけでしょ」

「そうだけど~喉乾いたでしょ~」

「そ、そうだけど、買って来ればいいだけだからね!」


温海は何時ものように顔を真っ赤にして、お店の中に入り炭酸を買って来たけど

そのまま一気に飲み干した。


「おお、いい飲みっぷりですな」

「な、なに、おじさん見たい事言ってるのよ」

「だって、280mの瓶だと言っても、炭酸を一気にはすごいよ」


温海は瓶の炭酸を買って来てそのまま一気に飲んだ。

ただ、炭酸を一気に飲んだって事は……げっぷが出るよね。

そう思ってたら、温海から物凄いげっぷがでて、赤い顔が更に赤くなった。


「温海さん、自然の摂理ですから、恥ずかしがることはないですよ」


わたしは温海を慰めるよう言うけど


「……ありがとう」


ってか細い声でお礼を言ったのだった。


「駄菓子は美味しいけど~やっぱり物足りないよね~」


夕は夕でマイペースだけど、2巡目のわたしでもまだ物足りないから

夕の言う事はわかる。


「これはこれで楽しいけど、やっぱりちゃんとした物を食べた方がいいか」

「そうよね、朝食を食べてからちゃんとした物を食べてないから物足りなわね」

「そうだね~でも~まだまだお父さんは~つかないから~もう少し食べようよ~」

「そうね、わたしも欲しいのが決まったわ」

「それじゃわたしも、3巡目だよ」


わたしたちは再びお店に入ると、それぞれ好きな物を買い店の前で食べる。

そして、3人で話をしたり、夕と2人で温海をからかったりと楽しいひと時だった。


「あ、お父さんがきたよ~」


夕のおじさんの車が駄菓子屋さんの前で止まる。


「お待たてしたよ」

「いえいえ、お迎えありがとございます」

「いつもありがとうございます」

「2人共そんなにかしこまらなくてもていいですよ。さ、乗ってください」


わたしたちは車に乗り込むと、夕は


「お父さん~お腹空いてるから~何か食べたいな~」


とおじさんに甘えながらねだるけど、父と娘って感じだなぁ。


「駄菓子屋で食べたのに、まだ食べるのかい?」

「うん、プールの軽食屋さんが終わてて~つなぎで食べてたんだ~」

「それなら、どこかに寄って行こうか」

「お願いね~」


夕のおじさんは車を走らせるけど、この時間でもやっているお店は限られているので

しかたなく、途中に牛丼屋さんによって食べたけど牛丼もおいしかった。

そして、牛丼屋さんを出ると、車は夕の家に到着したのだった。

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