第13話 駄菓子屋の小学生

駄菓子屋さんへ行くと、店の前に小学生たちがわたしたちを見て挨拶をしてきた。


「こんにちは」

「こんにちは、皆は小学生かな?」

「はい、僕は5年生です」

「わたしも同じ」

「ぼくは……2年生……」

「この子は僕の弟だけど、人見知りだから知らない人と話すのは苦手なんだ」

「そうなんだ、お姉ちゃんは高校生だよ」


わたしと小学生とやりとりをするが、小学生2年生の男の子はお兄ちゃんの背中に隠れながら


「お姉ちゃん……一緒に居るのは……お母さんと……小学生の子供なの?」


と夕と温海を見ていうけど……人見知りの割に言うな、この子は。

ただ、それを聞いた温海は


「な!?わたしも高校生よ!」


と声を出すけど、男の子は驚いてお兄ちゃんの背中に隠れる。


「温海、驚かしちゃダメだよ」

「う、ごめん、つい。でも……小学生は流石にないわ……」


温海からしたら、それはそれで気になるか。

でも、相手は人見知りの小学生だからもう少し優しくした方がいいと思うけどね。


「あと~わたしも~高校生だよ~」

「そうなんだ……手を繋いでるから……親子だと思った……」


プールから温海と夕は手を繋いではいたけど、この子には2人親子に見えたんだな。

夕は人妻と言うかお母さん感があるしわかるよ。

温海は……まぁ、男の子の言う事もわからなくもないけど。


「あとね~わたしと~温海ちゃんは恋人~同士だからね~」


と温海を抱くが小学生には刺激が強いと思いますよ、夕さん。


「ちょ、小学生の前で何するのよ!」

「ちょっとした~スキンシップだよ~」

「というか、わたしと夕が恋人同士って小学生に言う事でもないでしょ!」


温海がそう言うが


「ここにもリアル百合が居たんだ」

「うちの高校生のお姉ちゃんもリアル百合だからね」

「お、リアル百合か、いい物見た」

「うちの姉ちゃんが見たら、喜ぶだろうな」

「どっちが受けだと思う?」

「意外と小さい方が攻めだよ」

「でも、雰囲気からおっぱい大きい方が攻めじゃない?」


と話していた子たちの他に、店から出て来たと子たちもいつの間にか混じるが

驚くどころか百合をわかっているというか、身近に百合がカップル居るんだ……。


「ねえ、今の小学生は百合ぐらい当たり前なのかな?」


わたしは2人に小声で話す。


「知らないわよ、身近に小学生が居ないから」

「わたしも~年下の親戚は~中学生だから~わからないな~」

「うちも小学生の親戚はいないから、わからないけど、今はこんなものなのかな」


今は何かと知る機会が多いから、小学生でも知ってるかな。

ただ、小学生たちはそんなわたしたちを気にせず


「お姉ちゃんたちの邪魔をしちゃダメだから、行こうか」

「そうだよね、百合の間に挟まるのはダメってお姉ちゃんが言ってた」

「特に男子は間に入っちゃダメだからね?」

「もちろん、わかってるよ。お姉ちゃんたち、お幸せに」

「それじゃね~」

「お邪魔しました」

「ところで、もう1人もただの友達かな?」

「実は3人で……きゃ♡」

「ユミちゃんのえっち~」


と、小学生たちはわたしたちに挨拶をして、居なくなったけど……今の小学生ってこんな感じなのか。


「今の小学生はこんな感じなのか」

「みたいね」

「わたしもませてたと思てったけど、今はすごいね」


わたしと温海は顔を見合わせて、息を吐いた。


「それより~駄菓子屋さんに入ろうね~」

「そうだね」


わたしたちは駄菓子屋さんに入ると、店の人はおばあちゃんではないが

優しい感じのおばさんで「いらっしゃい」と声をかけてくれた。

わたしたちは広くはない店の中を見るけど、この感じ懐かしいな。

ただ、温海はなんか違うって表情をしてるけど。


「駄菓子屋さんって初めてだけど、漫画で見たのと違うわね」


どうやら、見た漫画と違ってたからあの表情だったらしい。

棚があってコンビニってほどじゃないけど、綺麗にお菓子が並べられてる。


「わたしが小学生だった頃はこんな感じだよ」

「そうなのね。見た漫画は古い漫画だったから、違ってても仕方ないわ」


温海は結構漫画好きではあるけど、意外と古い漫画も読んでるのね。


「売ってる物は多分、あまり変わってないと思うよ」

「コンビニやスーパーで見るものもあるわね」

「そうだけど、買う所が違うと気分も違うよ」

「そんなものなの?」

「そんなものだよ」


同じ物であっても、買う場所で気分が違うのは確かだと思うよ。


「でも~お菓子でお腹いっぱいになるかな~」

「何も食べないよりはいいじゃないかな」

「こういう事も、たまにはいいでしょ」

「そうだね~」


何時もはファストフードかショッピングモールのフードコートだから

こう言うのもたまにはいいよね。


「それじゃなににする?」

「暑いから~アイスもいいかな~」

「アイスもいいけど、駄菓子屋さんだから駄菓子にしようよ」

「といっても、何がいいかわからないわ」

「難しく考えないで、食べたいと思ったのを適当に選べばいいよ」

「それじゃ、そうするわ」

「あと、カードは使えないし、お札は1000円札だけだからね?」

「カードが使えないことぐらいわかるわよ。1000円札だけなのは教えてくれて……ありがとう」


温海は照れながらお礼を言うけど、照れる事はないと思うんだ。

でも、温海のこれがいいんだよ。


「そうだ~お菓子を買う前に~お父さんに電話しておくね~」

「そうだね、帰る30分前に電話するようにって言ったからね」

「ということは、30分以上ここにいるってこよね?」

「駄菓子屋さんの30分なんて、すぐですぜ」

「そうなの?」

「ま、実際に居ればわかるって」


小学生の頃は皆で駄菓子屋にいって、500円でどれぐらい買うか考えたり

皆で店の前の段差がある歩道に座って、お菓子を食べて無駄話を2,3時間過ごしてた。

今思うと、あの頃が良かったって5、6年ぐらい前の話だけどね。


 さて、わたしの駄菓子屋の定番はうまい棒にヨーグルにおやつサラミ。

これに、ベビースターラーメンに炭酸のジュースを組み合わせる。

500円で出来るだけ多く買えるよう、計算しながら買うのが良かったなぁ。


「今時1個20円で買えるのね」

「そうだよ、別に消費税も入るからね」

「計算が面倒だわね」


そんな事を話してと、おばさんが


「うちは消費税分は取らないから、そのまま計算すればいいよ」


と教えてくれた。


「そうなんですか」

「子供に消費税分を取るのは気が引けるし、計算も面倒だからね」

「そうなんですね」

「儲けは減るけど、子供たちのためだからね」


おばあんは笑いながらいうけど、いい話だな。

そして、温海はわたしの隣でなんか目が潤んでる。


「経営者の娘として、見習わないといけないわね。わたしも子供たちのためにがんばるわ」

「ん、は、はい、がんばってね」


わたしは適当に返事したけど、温海はこれでも社長令嬢だかね。

温海が会社の経営をするかはわからないけど、こんな所で感化されるとは。


「電話したから~わたしも~なんか買うね~って、温海ちゃんどうしたの?」


温海の様子を見て、夕も戸惑ってる。


「温海さんは駄菓子屋案の経営努力に感動したんだよ」

「え、そうなの?」


流石の夕もこればかりは頭に?が浮かんで、理解してない様子。


「ま、それはいいとして、迎えが来る前に買おうよ」

「うん、そうだね~1時間ぐらいかかるしね~」

「温海も早く選びなよ」

「わ、わかったわよ。ただ、初めてだからすぐには選べないわ」

「そうだね、時間はあるからゆっくりえんでね。

わたしは定番があるから、まずはそれを買うからお先に~」


わたしは自分の定番を選んで、お金を払うと小学生たちが集まっていた場所に

丁度いい座る場所と駄菓子を広げられる所があったので、そこで2人を待ちながら食べる事にした。

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