買ひ出し

@mai_kannzaki

買ひ出し

末黒野やピアスの穴を開けにゆく 

石鹸玉まだ湖に囚はれて          

上向けば口の開いて長閑なる        

静寂に草餅甘くなりにけり     

しつぽりと花粉つけをる熊ん蜂    

髭剃りの間の無言夏浅し

飛込みになくす水中眼鏡かな       

白玉が素直になつてしまふほど       

アイスティー脱ぎやすき服ばかり着て   

短夜の湖上とろんとしてゐたる       

生垣にシャツ掛けてある残暑かな

爪先を曲げて歩ける秋の浜

花野より戻りしひとの背の高き   

新本の活字冷やか秋さびし          

おほぶりの林檎綺麗にそこにある  

湖の底まで凍てて眠気かな

クリスマスローズ硝子は何色か   

買ひ出しの葱を触角だと思ふ        

あの家はいつまで燃えてゐるだらう     

夜咄の美談を避けて終はりけり

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