第40話 出発
普通の服で死の山へ同行しようとしていたタチアナに革の胸当てを作ったけど、もう一つ必須で作らないといけないものがある。
という訳で、早速スキルを合成してみた。
「≪スキル合成≫使用。クリエイト・サンドと悪食:革靴」
――『クリエイト・ブーツ』スキルを入手。靴を作り出します――
よし。狙い通りのスキルだ。
村の住人たちは、みんな草履みたいなものを履いている。
普段はそれで問題ないんだけど、今から行くのは山で、更に獣道を通ると言っているからな。
本当は長ズボンも作りたかったんだけど、せめて足をしっかり守る靴くらいは履いて欲しい。
「≪クリエイト・ブーツ≫」
さっきの採寸スキルでタチアナの足のデータもあるので、ピッタリの靴を作り出す。
どんなタイプがタチアナの好みか分からないので、登山靴のようなブーツと、スニーカーみたいなシューズをイメージして作り出しておいた。
……スキル名はクリエイト・ブーツだけど、試してみたらゴム製のサンダルも作れたし、長靴も作れたので、俺が靴だと認識しているものは作り出せるようだ。
「わぁ……こ、こんな高級品をいただいて宜しいのですか!?」
「うん。スキルで作り出せるし、気にしないで」
「で、ではこちらを……これもピッタリです!」
タチアナが足首までしっかり守るブーツを選び、歩いたり走ったり、凄い蹴り技を出して動きを確認している。
なんか、旋風脚っていうのかな。
空中で横回転しながら蹴りを放っていた気がするんだけど……獣人族の身体能力はやっぱり凄い。
「おねーちゃんだけ、いいなー! テレーズも欲しいー!」
「じゃあテレーズのも作ろうか。≪ディテクト・ボディ≫」
――テレーズ 女 九歳。獣人族猫耳種。健康。身長:百五十 体重:三十八 胸:B……――
しまった。
足の情報が知りたいだけだったのに、また色々と見てしまった。
とはいえ、テレーズの希望を聞き、水色の可愛らしいスニーカーを出すと、
「領主様ー! ソフィもー!」
「アデル様。わ、私も可愛らしい靴が……」
「か、帰ったら村人全員に靴を作るから! ちょ、ちょっと待って欲しい」
ソフィとクレアも靴が欲しいと訴えてきた。
元より村人全員分を作るつもりだったとはいえ、タチアナはともかく、今テレーズの靴までを作ったのは失敗だったかもしれない。
「それからこれも……≪スキル合成≫使用。プロテクト・ドリズルと感知(弱):虫」
――『プロテクト・インセクト』スキルを入手。一定時間、虫からの攻撃を防ぐシールドを張ります――
獣道だし、このスキルが虫除けになる……はずだ。
山へ入る前に、ブレアたちを含めた全員にスキルを使用しよう。
一通りの準備を終えたところで、ブレアたち一向がやってきた。
「おはようございます。何度も泊めていただきありがとうございます。こちら、宿泊代の代わりとして足りるかわかりませんが、どうぞ」
「ありがとうございます。あと、昨日話した死の山の案内に、俺とこちらのタチアナが同行しますので、宜しくお願い致します」
「えっと、非常にありがたいのですが、領主さんは魔物とか大丈夫なのでしょうか? お恥ずかしい話なのですが、我々も自分たちを守るのが精一杯なんです」
「まぁ何とかなるかなと。あと、こちらのタチアナは優れた体術で戦えますので、ご心配なく」
ブレアから、昨日山で見つけたという薬草を受け取りつつ、タチアナを紹介し、出発する事に。
「あ、あの、ブレアさん。アデル様の事をくれぐれも……」
「クレア。大丈夫だって。タチアナもいるしね」
「は、はい。必ず無事に帰ってきてくださいね」
クレアが凄く心配そうにしているけと、ブレアたちのプレッシャーになりかねないから、変な事は言わないように。
あと、遺跡の中のダンジョンに入ると本気でヤバいけど、遺跡の周りなら火の付与で何とかなるんだから。
「そうだ。忘れない内に……≪フレイム・アロー≫そして、≪写し火≫」
火の矢の魔法を放ち、それと共にブレアとヴィンスの武器に付与する。
さて、俺の平穏な生活を得る為に行くとするか。
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