第35話 マジックアイテム
キースさんが、とっておきだという品物を見せてくれる。
「アデルさん。これらが、今回の目玉商品だ。マジックアイテムと呼ばれるもので、幾つか持っては来ているが、全部購入というのは難しいだろう」
マジックアイテムか。
アポクエに出て来るマジックアイテムだと、一番欲しいのは癒しの杖というアイテムだな。
あれは、それなりに魔力があれば誰でも治癒魔法が使えるという代物で、薬と違って病気などには効果がないけど、少なくとも怪我を治す事が出来る。
緊急時の為に、あると嬉しいが……んー、見た事がないものばかりだな。
「こちらから順に説明していこう。まずは、魔力を注げばどこでも水が出せる壺だ。飲用には適さないが、綺麗な水ではあるので、畑の水やりやシャワー代わりに使う事は出来る」
んー、水の弾を放つ初級攻撃魔法が使えるので、微妙と言えば微妙かな。
シャワー代わりになるというは少し惹かれるけど、現時点では湖の水量も十分あるからね。
「次は、魔法のコンロ。魔力を熱に変換し、その熱をこの板の表面に付与する事で、板の上に置いた鍋を過熱して調理を行う事が出来るんだ」
ファンタジー版IHコンロって感じだな。
クレアが欲しいと言えば、買ってもよいかも。
「次は……」
キースさんが様々なマジックアイテムを紹介してくれるが、どれもアポクエに出て来るようなものではなく、生活を便利にする家電的なものばかりだ。
大金を出してまで買うものかなと悩んでいると、最後だという品が紹介される。
「これは、マジック・ボードというアイテムで、二枚一組なんだが……見て貰った方が早いな」
そう言って、キースさんが片方の大きな白い板にペンで文字を書き始めると、もう一方の板に同じ文字が浮かび上がる。
これは……FAXみたいなものか?
「見て貰った通りで、文字だけではあるけれど、離れた場所とやり取りが出来るんだ。ただ、大きすぎて持ち運びなどは出来ないので、何処かに設置して使う事になるが」
これの小型版があれば、外出先でもスマホみたいにやり取りがすぐ出来るんだけど……とはいえ、アポクエにこんなアイテムがあるのは知らなかったな。
「これを買います。維持費とかはかかりますか?」
「いや、時々魔力を流すだけで十分だから、ぶつかって割れたりしない限りは大丈夫だ」
「じゃあ、この片方をこの村に。もう片方をキースさんの店か馬車に置いてもらう事は可能でしょうか? この村まで距離がありますし、急ぎで必要なものが出来た時に連絡出来ると助かるのですが」
「それはこっちも有難いが……良いのか? 村人間で使わずに、うちの店とで」
「えぇ。是非お願いします」
ついでに、クレアとも相談し、先程のIHコンロ……もとい、フレイム・プレートというマジックアイテムを購入した。
事前に言われていたが、マジックアイテムがかなり高額らしく、倉庫の中身全てと大量のジャガイモやサツマイモで相殺という話になり今回は村の資金の変化はなし。
代わりに食料と様々な植物の種を得ているので、明日から早速植えていこうと思う。
「アデル様。では、私は夕食の準備を致しますね」
「おっ! ありがたい! じゃあ、俺は商品を運ぼうと思うんだが、誰か手伝ってもらえると助かるんだが」
「では、俺が手伝います」
クレアやキースとシモンたちが、それぞれの作業を始めたので、俺は一人で畑に行き……ハズレスキルを合成する事にした。
というのも、キースさんから見せて貰ったマジックアイテムを見て、ブレアたちを強化する方法を思いついたからだ。
上手くいけば……ブレアたちが死の山の魔物とそれなりにやり合えるようになれば、さり気なく遺跡の場所を教え、依頼達成で街へ帰ってくれるはず!
使えそうなスキルは……この辺かな?
『写し絵』写し絵がちょっと綺麗に描ける。
『塗り絵』塗り絵がちょっと上手に塗れる。
『達筆:筆』筆を使って文字を書く時、他の人が読めないくらい達筆になる。
これと、この前の十連ガチャで得たスキルから、思い付いたスキルが作れるのではないだろうか。
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