五月雨ブレンド/初夏みどり
初夏みどり
五月雨ブレンド
三度目のアラームを止め曇りゆく空を眺めてまた目を閉じる
食パンが焼き終わるまで窓を開け少しの間雨音を聞く
バターナイフを滑らせてゆく休日は出かけなくても休日である
はちみつは雨より遅く降ってくる待ち合わせだけして帰りたい
読みかけのページを開き少しだけ君の見ている世界を知った
髪の毛がたくさん落ちている部屋だ子犬一匹分の不真面目
雨が止み濡れたサドルは輝いて昨日の話しの続きがしたい
木漏れ日の道を君ならゆくだろう私のいない世界だろうと
ゆるやかな坂を下って忘れてもいい約束をこれからしよう
薄暗い珈琲店は雨の匂い良い天気には雨もいれたい
心地よい雑音の中本を読み誰にも気づかれないように泣く
少しだけ氷は溶けて五月雨という名のブレンド珈琲を飲む
帰ってくる君と一緒に食べたくて残り一つのドーナツを買う
喜びを分かち合いたいとかじゃない農耕民族だから分けたい
ズッキーニを薄くスライスして雨の降る夜にもある月の光は
また雨は降り始めてるパスタには小雨のようなチーズを降らす
一つずつピースを合わせてゆくように今日一日について話した
元にある場所ではないが丁寧に二つのカップは片されている
梅雨だから明日も雨は降るだろう天気予報を適当に見た
ドーナツを半分に割りパラパラとくずがこぼれてゆく夜の居間
五月雨ブレンド/初夏みどり 初夏みどり @shokamidori
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