単発で書いてます  春桜

@haruzakura0701

思い出食堂

これは、今から2年前の話です

その日は、ペットの一周忌の命日でした

私が、10歳の時からの付き合いです

犬の種類は、ミニチュアダックスフンドです

名前は、コロです

ペットを家族と言う人の気持ちが解りました

14年も一緒に居れば家族と思いますよ

生き物なので寿命があるのは、解っていましたが、

いざ居なくなると寂しいものです

そんな一周忌の夕方

仕事終わりの帰宅時に夕食を考えなら、線香でも立てるかと思いながら、

商店街を歩いていました

ふと、裏路地に目線をやると小さな飲食店らしい建物が目に入りました

一人暮らし初めて3年になりますが、こんな所に飲食店なんてあったかな?

と思いながら、記憶を探りました

見た目も古めな建物だから、たまたま見てないのかな?と思いました

まだ夕食も決めてなかったから、ここでいいかと好奇心で店に入ることにしました

店の看板には「思い出食堂」と書いてありました

変わった名前だなと思いながら、引き戸を開けました

店に入ると20代後半から30代前半ぐらいの女性が

「いらっしゃいませ」と声を掛けて来ました

店内を見るとカウンターは無く、2~4人向けのテーブル席が4つだったので、

家族向けの店だったかな?と思って、少し気まずい気持ちなりました

救いだったのは、お客がいないことでした

念のため「1人ですがいいですか?」と尋ねました

すると「はい、好きなお席にどうぞ」と返ってきました

私は、右奥の席に座ることにしました

席に着いて、メニュー表を手に取って表紙を開けると不思議なことが書いてありました

「当店にはメニューはありません、料理は、お客様を見て順次に出てきます。値段は、お客様が食べ終わってから決めて下さい」

とだけ書いてありました

さすがにこれは、店員に聞いた方がいいなと思って、店員を呼びました

すぐに店員来てくれて、「はい、どうしました?」

と言われたので

「料理ってどんな物が出てきますか?」

と聞いてみると

「あぁ、そのことですか」

とよく聞かれるみたいな顔で返答して

「ここの料理は、お客様の思い出に関係ある料理が出てきます。量は、思い出が多いと少なく小分けで、少ないと多めに出てきます」

と返答が返ってきました

私は「???」状態になり、まぁ物は試しかと思って「わかりました、おまかせします」

とだけ返しました

「では、冷水か暖かい緑茶か冷たい麦茶がありますが、どれにしますか?」

と聞かれたので、「暖かい緑茶を」と頼みました

「わかりました、少々お待ちください。おかわりがいる時は、いつでも言って下さい」

と答えて、店員は、奥に消えて行きました

何となくスマホを見ると19時前だったので、20時頃に食べ終わるかなと思っていると

「おまたせしました」と店員が料理を持って来ました

早いなと思いながら、料理を見ると2・3口ぐらいの焼き鮭でした

第一印象は、少ないなと思った瞬間にメニュー表に書いてあったこと思い出した

順次に出て来るなら、まだ出て来るかと

まぁ、空腹だから、何でもいいかと思い鮭を口に運びました

味は、まぁ普通だな思いながら、これと思い出は、どんな関係ある?と考えている

「次の料理です」と店員が料理を持って来ました

次は、シチュー

次が、鳥のから揚げ

3品食べて、味は普通だなと思いながら、食べていました

4品目は、焼いたウィンナーと卵焼き

これだけ見て食べても統一してないなと思っていると、5品目が来ました

5品目を見たときに何か記憶の中から、引っ掛かることありました

5品目は、焼き飯でした

何だろ?この引っ掛かってる物は?と思っていると、今日が命日だったこと気づきました

そうだ、これは、コロが何か覚えた日や新しい遊びをした日などに食べた物だと気づきました

最初は、家に来た日、次は、初めて一緒に散歩した日、次は、お手を覚えた日

次は、初めてボウルを投げて遊んだ日、次は、伏せを覚えた日に食べたものだと

それ気づくと、6品目待ち遠しくなりました

6品目は、カレーでした

そうだ、これは、一緒にプール遊んだ日だと次々と思い出が記憶から溢れてきました

それから、7・8・9・・・・・・・15品目が来た時に

「これで最後です」

と店員から言われて

15品目は、お粥でした

そうだ、この日は、コロが亡くなって、食欲無くて、お粥にしたな・・・・・

お粥を食べ終わると、お腹を膨らむことよりも早く家に帰って線香立てようと思いました

食べ終わると店員が来て

「お客様、会計ですが、いくらにします?」

そう言われて私は財布から一万円札を出して

「これですね」

と答えて、一万円札を店員に渡しました

「ありがとうございます。」

と店員から返ってきました

私は、「ごちそうさまでした」と言って店を出ました

店を出た私は、急ぎ足で家に帰りました

家に着いて、即線香を立てて、アルバムからコロの写真を見ながら、思い出に浸りました

そして、就寝時間が来たので、ベッドに入ると疑問が浮かびました

どうして、私の食べたものが店から出てきた?

そんなこと思いながら、眠りに付きました

朝になり、朝食を食べて、仕事に行きました

仕事が終わり、昨日行った店に行って店員に私の疑問の答えを聞いてみようと思いました

そして裏路地に着いて、目を疑いました

店が無い・・・・

道を間違えたかと思って周囲を見て、昨日の記憶道理で、違うのは店が無いことだけでした

頭が???となって夢でも見たか、錯覚でも見たか思いました

でも、忘れいた思い出を思い出したので、深く考えることを辞めました

もしかしたら、私みたいに何かの記念や大事な思い出を忘れてる人だけの前に現れる店かも知れないと

結論を出して家に帰りました

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る