異世界医学と両親の考え

筋肉質の男性が緊急の患者を抱えて診察室に入ってきた。

患者の見た目は、20~30代の男性だ、連れの男性より細いが

それなりに鍛えているのは、客観的に見ても解る。

それを見たロイも一緒に抱えてベッドに横にさせた。


見た感じだと横腹に直径2~3cmの棒が刺さっている。

運良く貫通はしてないみたいだが、相当重症なのは解る。


「アレク、棚にあるタオルを持てるだけ持って来てくれ」

「うん、解った」

返事をしたら思考することを辞めて棚に向かった。


棚から持てるだけのタオルを持って、ベッドに急ぐ。

俺がタオルを持ってきたことを確認してから、ロイが棒を握って、

連れは、患者はお腹を固定する為に抑えているみたいだ。

アンは、俺からタオルを2枚取って、刺さっている横腹の近くに両手を

添えた。


「棒を抜くから、しっかり抑えておけよ!」

「あぁ!準備は出来てる!」

返事を聞いた瞬間にロイは、棒を抜いた。

抜き終わりと同時にアンが穴が開いた横腹にタオルを添えた。

夫婦の阿吽の呼吸なのか、出血は少ないと思う。


ただこのままだとタオルで傷口を抑えただけだ・・・

そう思っているとアンは、目を瞑って無感情で、タオルを抑えている。

何だ?このまま祈りだけで治ると思っているのか?と思っていたら、

アンの両手が緑色に光り始めた。


そこからは、時間は解らないが、徐々に患者の顔が安堵の表情になってきた。

患者から、安定した呼吸音が聞こえ始めからアンは、

両手とタオルを傷口から離した。


離し終わるとアンは、軽く揺れたのでロイが支えて、椅子に座らせた。

「ふぅ・・・久しぶりに上級使ったから疲れたよ・・・」

「お疲れ様・・・何度見てもすごいと思うよ・・・」

そんな会話を聞きながら、患者の傷口を見ると穴は完全に塞がっていた。


連れの男性を椅子に座らせて、ロイは説明を始めた。

「まずは、お礼を・・手伝い感謝します」

「いやいや、俺は、抑えていただけだ」

「いいえ、それでも助かりました」

「そう言われると力になれたと思うよ」

「はい、ですが、傷は塞がっていますが、血液は戻る訳ではないので、

起きたら、出来るだけ肉類を食べるように言って下さい」

「わかった、起きたら伝えるよ・・・ところで話は変わるが、今日の

治療費は、いくらになる?」

「そうですね、とりあいずは、今日は帰ってもらって、明日の昼頃に来てもらえるように伝えてもらっていいですか?」

「あぁ、起きたら伝えるよ」

説明が終わると席を立って診断室に向かった。


それから、5・6人診断が終わった頃に重症の患者が起きたみたいでロイに

お礼を言って帰って行った。

患者が帰ってからしばらくするとアンが仕事の終わりを伝えにきた。


今日の昼食は、ロイが作るみたいだ。

いつもより、簡単な料理だが悪くないと思った。

食事が終わる頃に質問をした。

「ねぇ、お母さんの両手は、何故緑色に光ったの?」

「あれはね、治癒魔術だよ」

やはりそうか・・・異世界だからな・・・・

そこで新しい疑問が出る。

「治癒魔術あるなら、包帯や薬草の治療する意味は何?」

その発言を聞いた両親は、まぁそうなるよなと表情になった。

「アレク・・・言いたいことは解るが、治癒魔術は、無駄に高いのさ」

「お父さん、高いってどれくらい高いの?」

「そうだな、まずは、金額の説明しないとな」


ロイの説明を聞くに、銅貨10枚で銀貨1枚

銀貨10枚で金貨1枚

金貨10枚で白金貨1枚と教えてくれた

日本円で言うと銅貨が10円

銀貨が100円

金貨が1000円

白金貨が1万円という計算みたいだ。


「で、ここで問題になるのが、治癒魔術で治療した時だ」

「いくらになるの?」

「最低でも金貨5枚からだな、一般的には」

「包帯や薬草で治療した時は?」

「怪我の程度によるが、最低でも銅貨5枚ぐらいかな、うちの病院だと」

確かに差がすごいなと思っているとアンが

「でもね、銅貨5枚ってそれなりに安いのよ、違う病院だと銀貨5枚とか

当たり前だからね」

「つまりここの病院は、他より安いと」

「そうね、一般的な金額で設定してもいいけど、それで助かる人が

助からないって悲しいでしょ?」

確かにそうだ・・・でも、生活費を稼がないと生活は出来ない・・・

そうなるとこの世界の物価が気になった。



続きは、明日の18時に投稿します

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