第20話 クリスマスに次の計画を立てる

 イルミネーションが輝く店をあちこち見ながら、歩く。隣には寒い外でもしっかりとおしゃれをした夏楓がいた。


今日はクリスマス・イブ。あたり前のように障害のない日々を過ごしていた。

ちょうどイブの夜は残業なく定時に帰ることができた。予約していたレストランは店内にある窯で焼きたてのピザで有名な店を選んだ。Leckere Pizzaレイクドピザと描かれた看板にピザのイラストが描かれていた。

 クアトロチーズがとろとろで美味しかったのを覚えている。はちみつをかけて味変もできた。夏楓がピザに夢中になっている時にふとスマホのゲレンデ情報を見せた。


「あのさ、今度、山行かない? 夏楓ってスキーやスノボーってしたことある?」

 

 ゲレンデは11月中旬からオープンしているらしい。スキーウエアを着て、スキーやスノボーを装着してゴンドラやリストに乗っているモデル写真が表示された。スキーの経験者であるが、スノボーは初めてだった空翔は初心者用のスノボー教室に応募しようかと夏楓を誘う。


「小学5年生の時に地元のスキー教室に参加したことある。そり滑りなら、幼稚園時代に何度も行ったことあったけど、スキーは全然初心者だよ。平らなところを進むくらいで全然滑れなかった」


「そうだったんだ。僕もスキーはある程度滑られるんだけど、スノボーは初めてだからさ。一緒のスタートラインだし、この機会に挑戦してみようよ」


 ワインを飲みながら、ピザを食べる。クリスマスでプレゼント交換を終えて、心はホクホクしていたが、未来の予定を考えて計画するのも何だかわくわくする。


「まぁ、学生の時間ももうすぐ終わるし、なかなか行ける機会もないしね。行ってみようかな」

「お? 珍しいね。出不精の夏楓がすぐにOKするとは思わなかったよ」

「えー、もともとはアクティブに動く方だったよ? 休みの日くらいはのんびりしたいって思うのは普通でしょう」

「それはそうだけど、面倒とは思わない?」

「楽しいって思うこととは別でしょう。何かしようっていう決断は人に任せる方だから考えるのも大変なんだよ」


 コンソメ味のクルトン入りのジュリエンヌスープを飲んだ。クリスマスはなぜか洋食を食べたくなるのはなぜだろう。5品のコース料理の中には大きなホールケーキも含まれていた。サンタとトナカイの砂糖菓子が可愛かった。


「僕が考えたからいいってこと? でもご不満な時もあるよね」

「女子はその時々で変わるの。気持ちが。今日は行けるって思ったから」

「ふーん、そうなんだ。毎回一定じゃないってことね」

「そうそう。このケーキさ、スポンジのところにたくさんフルーツ入ってたよ」

「うん。うまいよ。このコース料理はお得だね。こんなに大きなケーキだとは思わなかったよ」

 クリスマスというイベントだからか、未来の話をして過去を振り返っていなかったからか。嫌なこともお互いにちょこちょこあったはずなのにその日は幸せな空間を過ごすことができた。


 楽しい時間はなんであっという間に過ぎてしまうんだろう。






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