病みコメですが、

うめ生徒

第1話 俺は、心理カウンセラーじゃない!

「――ネガティブが、私を呼んでいる」

「…………」

「人の自信は、何から生まれるものなのか、具体的な回答を知りたい」

「…………」


 高校の昼休み。

 場所は、校舎こうしゃ屋上おくじょう

 天候は、快晴。

 そよかぜ以上いじょう強風未満きょうふうみまんの風が、彼女のブラウンヘアをなびかせた。


 俺は、屋上扉前おくじょうとびらまえ段差部だんさぶこしろし、横に座る彼女に言葉を投げた。


ねんのため伝えておくが、俺はその答えを知らないからな」

「それは、さっしているよ。誰かが、それの明確な回答を知っていたら、私はこんなにもなやんでいない。自信を手に入れる、正しい方法が実在じつざいしないがために、今こうして、マイナス思考を谷岡たにおかくんにぶつけている最中さいちゅうなんだよ」

「俺に、そんな面倒な思考をぶつけないでくれ」

「世界中にカウンセラーはたくさんいるけど、気軽に相談できるカウンセラーは、谷岡くんくらいしかいないからね。だから、マイナスパワーをおすそけしているところ」

「そんな迷惑な力を、おすそ分けするな。てか、そもそも教えて欲しいのだが、俺がいつカウンセラーになった? 高校生であり、心理しんりカウンセラーなどに転職した覚えは無いぞ」

「たぶん、谷岡くんは遺伝子いでんしレベルで、カウンセリングの才能があるんだよ。だから、本職ほんしょくがカウンセラー。QED」

「本職は学生だ! 副業もしていない! 何を根拠こんきょに、証明完了しょうめいかんりょうできたと思った!?」

「これからも、末永すえながくよろしくね。谷岡くん」

勝手かってに、末永くのていで話を進めるな! 高校生活三年間が限界だ、このけいめ!」


 だいたい、だ。

 俺のどこに、彼女をカウンセリングした要素があるというのか?

 自分で言うのも何だが、優しさの欠片かけらも無いだろ。

 彼女の思考回路しこうかいろは、意味不明なのだった。


 ――はぁ。


 心の中で、ため息が出る。


 ――なぜ、こんな事になったのか?


 俺――谷岡たにおか幸樹こうきは、そんな現状についてを考える。


 となりにいる美少女の名前は、畑山はたやま優香ゆうか

 全ては、この少女との出会いから始まった。

 俺の高校生活の、理想と現実のズレがしょうじた、原因――……。

 俺は、少し過去に、記憶をさかのぼらせた。

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