第10話 新たな決意

舞が再び目を覚ましたとき、空は淡い光に包まれ始めていた。彼女は深呼吸をし、心の中にまだ残っている昨夜の不安を抑えつつ、ベッドから立ち上がった。彼女の体は相変わらず冷たく、腐敗の進行を感じさせたが、心の中には新たな決意が芽生えていた。


「今日は何かを変えよう」と舞は自分に言い聞かせ、小屋の外に出た。


朝露が草を輝かせ、太陽の光が森の木々の間から漏れている。鳥のさえずりが耳に心地よく響き、彼女の心を和ませた。舞は静かに周囲を見渡しながら、村の中心に向かって歩き始めた。


村の広場に到着すると、村人たちが朝の準備をしている姿が目に入った。彼女は深呼吸をし、自分の心を落ち着けると、村人たちのもとへ向かった。


「おはようございます、皆さん」と舞は控えめに声をかけた。


村人たちは一瞬驚いたように彼女を見つめたが、すぐに微笑みを浮かべた。「おはようございます、舞さん」と何人かが返事をした。


舞はその反応に安心し、さらに一歩前に進んだ。「皆さんにお話ししたいことがあります。少しお時間をいただけますか?」


村人たちは顔を見合わせ、興味深げに舞の方に集まってきた。彼女は深呼吸をし、自分の思いを伝える決意を固めた。


「私はこの村で皆さんと一緒に生きていきたいです。自分がゾンビであることは承知していますし、そのリスクも理解しています。でも、私は皆さんの役に立ちたいし、共に暮らしていきたいと強く思っています」


彼女の言葉に、村人たちは静かに耳を傾けた。ミリアも人々の中にいて、優しい目で舞を見守っていた。


「腐敗臭や腐敗の進行を抑えるために、ミリアさんの助けを借りています。それでも不安はあると思いますが、どうか私を信じてください。そして、私にできることがあれば、何でも言ってください」


舞の真剣な表情と言葉に、村人たちはしばし沈黙していたが、やがて一人の村人が口を開いた。


「舞さん、あなたの勇気に感謝します。私たちも不安はありますが、一緒に協力していきましょう」


その言葉に他の村人たちも頷き、同意の声を上げた。舞の目には涙が浮かび、感謝の気持ちが溢れた。


「ありがとうございます。皆さんと共に、この村を守り、発展させていくために頑張ります」


その日、舞は村の人々と一緒に働き、日常の生活に溶け込むことができた。彼女の心には新たな希望が芽生え、元の世界に戻るための道を探し続ける決意を新たにした。


その日の午後、舞はミリアと共に薬草の調合を続けていた。ミリアは舞の体の状態を確認しながら、新しい薬草の組み合わせを試していた。


「舞さん、これが新しい調合です。少しでも効果があるといいのですが」とミリアは優しく言った。


「ありがとうございます、ミリアさん。あなたのおかげで希望を持つことができます」と舞は感謝の気持ちを込めて答えた。


「あなたの強さが、私たちにも勇気を与えてくれます。これからも一緒に頑張りましょう」とミリアは微笑んだ。


舞は新しい薬を受け取り、それを自分の体に塗布した。冷たい感触が肌に広がり、腐敗の進行が一時的に抑えられるのを感じた。


「これで少しは安心です。もっと効果的な方法を見つけるために、さらに研究を続けましょう」とミリアは言った。


「はい、一緒に頑張りましょう」と舞は強い意志を示した。


その夜、舞は再び小屋で一人静かに考え込んでいた。過去の思い出や家族への思いが再び頭をよぎったが、彼女は未来への希望を胸に、明日への準備を進めた。


「私はまだ終わっていない。必ず元の世界に戻ってみせる…」

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