魔術に飽きたのでのんびり暮らしたいです。

めぎど

第1章 アザエルと魔法

第0話 ユニークスキル

「ふぅ…今日はこれくらいでいいか」

「毎日よくやってるな!体壊すなよ」

「わかってるよ」


 俺の名前はアザエル=シンゾフィア。今年で10歳だ。

 セレスティア王国の王都から遠く離れた農村【ヴァーダ村】に生まれたごく普通の少年。

 今は父親のソロモン=シンゾフィアと共に暮らしている。


 自分はいたって普通の少年だ…と思っていた。

 4年前までは―――


『なぁ、アザエル。お前のユニークスキルを調べに冒険者ギルドに行かないか?』

『ユニークスキル?』

 この世界には人それぞれに《ユニークスキル》がある。

 4年前、俺は父上と冒険者ギルドにユニークスキルを調べに行った。


『すみません、息子のユニークスキルを調べてもらいに来たのですが…』

『こんにちは、ユニークスキルですね!水晶を持ってきますので少々お待ちください!』


『こちらに手をかざしていただくと、ユニークスキルを確認することができますよ。』

『ここに手をかざして…』


《ユニークスキル『』》


『認識不可…?』

『あれ…おかしいですね、機械不良ではないはずですが…』

『ってことは、つまり…』


 ―――ってな感じで、俺にはユニークスキルが無かった。

 今になって考えると別に気にするほどではないが、ギルドの人にどう思われているのかは今でも心配だ。


 しかし、それよりも切実な問題がある!それは!

「魔術…飽きた。」

 いや、別に疲れるとかそういうのじゃない。やり過ぎで飽きてしまった。

 常人の倍以上は少なくとも毎日魔術に向き合ってきた。そりゃ飽きるわ。

 だが、これには理由がある。


 ユニークスキルがないと分かってから父上は焦りに焦っていた。

 従来通り魔法は使えるから大丈夫だよ!と言ってもそう簡単に落ち着くわけもなかった。

 そこで、当時6歳の俺は考えに考え抜いた。父上を落ち着かせるには…


 練習量を増やすほかない!と。


 そして今に至る。何しとんねん昔の俺。

 もう飽きてしまったのには仕方ないので、使い道のない魔術を片手にダラダラしているのが最近の日課だ―――


「最近、練習量が減ってきてないか?」

「え?いや…そんなことないよ?」

 余裕でバレた。いつもが多すぎて、少し減らすだけで気づくらしい。

「確実に減ってるな。体調でも優れないのか?」

「いやだから…そういうわけじゃなくて」


 ―――まぁ、父上も飽きるだろうとは思っていたらしい。

 セレスティア王国では15歳になると一度王都に行かなければならないらしい。

 だから、それまでは練習を続けるだけでもやってみたらどうか、と言われた。


「あと5年、ねぇ…」

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