第12話 星~star~

「ったく、ついには周りにすら危害を及ぼすようになったのか?」

「――あい

 俺――星井照ほしいてるはまたもや襲来した元カノの星河哀せいがあいと向き合っていた。

「あら?よく戻ってきたわね」

「俺のダチに手を出すなら許さない!」

「零!」

≪おうよ!≫

≪あとあの認識コード長いから定番のアレに変えてやったぞ≫

「もしかして!」

≪そのとおりだよ≫

「よっしゃ!」

「言ってみたかったんだよねぇ!」

「はぁ?照、おかしくなったの?」

「ふん!おかしくなったのはてめぇだよ!」

!」

「その言葉?!」

 そうして赤色のフェーズ1になる。

「さぁ、再戦だ!」

「はぁ」

「スターちゃん、相手よろしく」

『承知しました』

「スター・オブザ・ラブだっけか?」

『覚えていただいて光栄です』

「お前をぶちのめして、あいつも止める!」

「じゃあ私は私のやりたいことをするから」

『すぐに終わらせます』

「舐めんなよ!怪人野郎!」

『こう見えても女性なんですが……ね!』

 そして店で俺の攻撃とスターの攻撃がぶつかり衝撃波が起こる。

 それと同時に互いに飛び立つ。

 下で困惑している友人たちがいた。

『ご学友のところに行かなくていいのですか?』

「なんか大丈夫な気がしてな!」

 お互いに刀とおそらく生成したであろうツヴァイハンダーがぶつかる。

「引いてくれてもいいんだぜ?」

『断る!』

 弾きあい同時に地面に着地する。

断影剣・氷だんえいけん ひょう!」

「凍りつけぇ!」

 氷をまとわせた刀を地面に突き立てると氷柱がどんどんスターの方へ向かっていく。

『無駄ですよ』

『スター・インザ・デイト!』

 光線が放たれ防がれてしまう。

『?!』

『貫通しないとは……出力が上がっている?』

「まさか苦戦しているわけじゃないわよね?スター」

『大丈夫です、哀様』

「頼むわよ」

 そうしてこちらへとスターが向き直ったころには

「向き直るのが遅い!」

『しまっ!』

断影剣・炎だんえいけん えん!」

 炎の剣で薙ぎ払い。

「フェーズ2!」

 青い体で肩にキャノンのついた銃火力形態となる。

「見様見真似だけど!」

「フォックス・キャノン!」

 狐型のエネルギーを放つ。

「今……のは」

「あら?気絶させたと思ったけどまだ意識があったのね」

「哀!」

 すぐに哀の方へ向き魔狐まこから引きはがそうとするが

「あぶねっ!」

 バックステップで横から放たれた光線を躱す。

「くっそ……絶対に連れては行かせない!」

「あら?よく連れて行くってわかったわね」

「抹殺の可能性もあったのに」

「お前らがエンゲージリングにやらせたことから人手不足なのは把握できた」

「そして魔狐は倒せ煮ながらも怪人を退ける力と周りへのコネ、高い状況判断能力から排除するよりも兵にすることを選んだ」

「違うか?」

「さっすが私の元カレ、分かってる~」

「その調子だとこっちの調子が狂うんだよ!」

『よそ見していていいのか?』

 スターが突っ込んでくるが

「あぁ」

 右腕をスターの方へ向け

「ラクーン・ショット」

 今度は小さい狸型の光弾を放つ。

「さすがに気づかないわけないんだよな」

「なめんなよ」

『少し見くびっていたかもしれません』

「人外様は違うねぇ!」

「ウルフ・キャノン!」

 今度は狼のエネルギーを放つ。

『ふん……そんなもの!』

「さて、今俺は狐、狗、狸のエネルギーを放ったわけだが」

「この感じわかるか?」

『何が言いたい!』

「化かし化かされ……その末路はいかなるものか!」

「その口上は!」

狐狗狸燦こっくりさん!」

 魔狐の技を模倣し、放つ!!

「俺だって1人じゃないんだよ!」

 直撃……したが

『ぐぅ……やるな』

『哀様、もういいですか?』

「えぇ、何とか」

『それでは、また』

「待てっ!」

『今のは……効きましたよ?』

 そうして虚空へと消える3人。

「くそっ!」

 その場から去った後、しばらく何も考えられずチャットアプリで先に変えるようにみんなに送り、雨の中道をただただ歩き続ける。

「クソ……どうすりゃいいんだよ」

「ただ歩くだけでは、見つかるものも見つからない」

「誰だ?!」

「おいおい……もう忘れたのか?」

 そこに立っていたのは狩人のような姿をした男だった。

「狩人……」

「おい、まじで忘れたのか?!」

「そりゃねぇって」

「せっかく第8位の悪魔様が会いに来たってのに」

「バルバトス……か」

「なぁ~んだ、覚えてるじゃねぇか」

「何の用だ」

「いや、思い悩んでいるお前にアドバイスをと思ってな」

「悪魔は信じてはいけないってよく言われるの、知らないのか?バルバトス」

「おいおい、でアドバイスだよ」

、だけになんちって」

「ったく」

「そこらのカフェでいいか?」

 そうして俺とバルバトスはカフェの中に入る。

「あ、俺はブラックコーヒーを」

「俺はオレンジジュースで」

 かしこまりました。と告げ去っていく店員

「おい照、子供っぽいんじゃないの?」

「うるさいな」

「んでアドバイスってなんだよ」

「お前はあの嬢ちゃんを助けたい」

「だけど逃がしてしまった」

「あってるな?」

「あぁ、一応な」

「ここで俺が好きな歌を引用しようか」

「ただただ歩くのではなく、自分の心に聞け」

「だ」

「だ。って…お前なぁ」

 呆れていると、店員の人が飲み物を持ってきてくれる。

「おっ来た来た」

「それどういう意味だ?」

「単純さ」

「お前はどうしたい?」

「それが何もないのに歩き回ったってなにも意味はない」

「そりゃ……あいつを助けたい」

「そして哀を止めたい!」

 そういうと急に光が差し込んでくる。

「晴れた……のか?急に?」

 バルバトスはにやにやと笑っている

「じゃあまずはどうやって動く?」

「現場百回っていうしな、あの雑貨屋に行くよ」

「やつを止める算段はあるのか?」

「一応な」

「俺に……いや」

!」

「頑張れよ?ヒーローさん」

「金は俺が出そう、バルバトス」

「お礼だ」

「サンキュー!」

 そして支払いを済ませると互いに店を出て別の道へ歩く。
































「ねぇ魔狐ちゃん、私たちの仲間にならない?」

 ある空間で星河哀は魔狐に話しかける。

「いやだね!あんたらなんかに協力したらろくなことにならない!」

「はぁ……この手は使いたくなかったんだけどなぁ」

 するとだんだんと近づいていく哀

「ま、待って」

「一体何をするつもり?!」

「大丈夫よ、ただ身をゆだねて?」

「や、やめ――」

 その声もただ虚空へと消えてゆくのだった。

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