4人の少女たちがきゃっきゃうふふする

どどどどどん

第1話

殺せ。殺せ。殺せ。目の前の敵を殺せ。主人の命令が聞こえる。相手を逃がすな。慈悲をやるな。ただ一思いに殺すのだ。お前は兵器。無情な兵器なのだ。そう主人は諭した。


さっきから誰かが何かを叫んでいる声が聞こえる。この声はどこから聞こえているのだろうか。何を訴えているのだろうか。まあ、そんなことはどうでもいい。私が今やらなければならないことはただ一つ。目の前の敵を殺すという任務を遂行するのみ。長い戦闘の中で相手はかなり疲弊しているように見える。もうじき決着はつくだろう。


 相手が私の攻撃を避けてよろけたところを狙い、間合いを一気に詰めた。そうして奴の心臓をめがけて剣を一突き。瞬間、私の手を生ぬるくて赤い液体がつたった。先程から聞こえていた叫び声はもう聞こえなくなっていた。刺していた剣を思い切り抜くと、その辺り一面が真っ赤に染まった。倒れていく相手の顔を侮蔑の意味を込めて見やると、そいつは悲しそうな、それでいて優しい表情をしていた。倒れた拍子に、蝶の髪飾りが外れた。


 なぜか見ているだけで涙が溢れそうになるその表情に、悲しくなるほど綺麗な蝶の髪飾りに、気づかないふりをして。考えないようにして。私は任務完了の旨を主人へと伝えた。さっきまで聞こえなくなっていた叫び声が、再び私の耳をつんざいた。

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