　なんと大勢（おおぜい）の人間（にんげん）が集（あつ）まっているのか。彼らは私（わたし）の知らぬ神（かみ）を称（たた）え、切実（せつじつ）に恩寵（おんちょう）を求（もと）める。

　圧倒（あっとう）されている私を僧侶（そうりょ）たちが囲（かこ）み、金色（こんじき）の演壇（えんだん）へといざなう。

　見れば私は、僧侶たちの誰（だれ）よりもおおげさに飾（かざ）られた、色（いろ）あざやかな衣（ころも）を纏（まと）っているではないか。

　この衣はきっと人々（ひとびと）の納（おさ）めた金（かね）で作られた物（もの）だ。私はお返（かえ）しに、言葉（ことば）で彼らに恵（めぐ）みを与（あた）えねばならぬ。

　だがこの私がいったいなにを話せばよいのだろう？　そもそも皆（みな）が使っている言葉すらわからない。

　ああ神よ、救（すく）いたまえ……。

　Fino

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