第8話 カタナ La glavo



 さきいくさにおけるはたらきにより、ありがたくも、主君しゅくんよりかたなをひと拝領はいりょうした。


 しかしこの刀、じつ奇妙きみょうかたちをしている。


 遊女ゆうじょの着物のように波うっており、大きすぎる四角しかくい部分がある。

 なぜ中央ちゅうおうあなが開いて、そのまわりに小さな黒いいしがぶらさがりれているのか。すこし動かすたびに石がこつこつと刀をたたき、さわがしい。


 さやもなく、ちかたすらわからぬ。私には手が三本さんぼんもないのだが。

 そしてなによりとまどうことに、ときどき細かくかれては、ゆかやら天井てんじょうやらをいまわるのだ……。


 見張みはりつづけていないととても不安ふあんだ。そのせいで、ねむることも、登城とじょうすることも、できないでいる。


 もしかして私は戦功せんこうなどあげておらず、ばっせられているのだろうか……。



 Fino



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