異世界転生-世界史に刻まれた者達と共に-

白洲蜜柑

第1話:異世界転生

―死


その一文字が頭に浮かぶ。


身体が熱い 。身体が寒い。熱い、寒い、熱い。


感じたことの無い体の温度変化に困惑する暇もなくただただ-死-と言う文字が脳内を考えを支配する。

前が見えない。霞んでいる。身体が思うように動かない。これが死と言うものなのか。俺はただ家に帰りたかっただけなのに。色々な事が脳内を巡るが、結局脳内を支配するのは死だった。死にたくない?いや、死んでもいいかもしれない。あぁ、なんかどうでもよくなってきた。思考するのも疲れた。


―楽に寝ちまえよ。


頭の中で俺が言う。まぁ、その通りかもしれない、これが運命なんだ。俺はこの電車の中、いやもう電車じゃないか。線路の上で死ぬのが神が定めた運命なんだ。


さて、そろそろ寝るとしよう。


俺はそっと思考するのを諦め、深い睡魔に身を落とした。


◆―◆―◆―◆―◆


「ここはどこだ?」


雲ひとつない青が空を覆い尽くしている。地面は芝だ。遠くを見ても芝しかない。


【不運なる人間の魂よ、我の声がきこえるか?】


頭の中に渋くも力強い声が響く。


「なんだ?誰かいるのか?」


【どうやら聞こえているようだな。ならば良い。お主は電車テロに巻き込まれて爆風により、下半身が爆散。そのまま大量出血で死んだ。】


死んだ?あぁ、そうか。俺は電車テロで死んだんだな。にしても下半身が吹っ飛ぶとはえげつない死に方をしたもんだ。歴史上を見ても中々居ない。

それはそうとして、


「お前は誰だ?」


【私は異世界ホーエンの創造神ホーエン・フォン・オットー。つまり、この空間とお主が生まれ変わる世界の創造主だ。】


「生まれ変わり?」


【そうだ。お主は余りにも不運な死に方をして流石に我の目にも余った。因みに地球も我が管理している。】


どうやら俺は神と会話しているようだ。


しかし、生まれ変わり。言うなれば転生ということを言っているのだろう。


【すまぬが時間が無い。お主には特別な加護と唯一無二の職業ベルーフ、更に適当になんか死なないように色々付けておこう。】


最後適当だな。まぁ死なないようにしてくれるのは有り難い。だが、


「その職業ベルーフとやらはどんなのになるんだ?何か特別なもののような感じがするんだが。」


【あ?あぁ、なんか要望があるのなら聞くぞ?オリジナルの能力にしても良い。ないなら適当に決めるが。】


本当に適当だな。


「決めても良いならば・・・・・・生前に好きだった世界史関係の能力にしてくれないか?」


【なるほど、分かった。世界史関係の能力にしてやろう。ん?あっ!時間がもう無い!じゃ半ば放り投げる事になるが転生させる。安心してほしいのが赤子からでは無い事と転生した際に自動で一般人より少し上の男爵程度の知識と常識その他諸々が身につく。また会う機会があれば。】


「ちょっ!まっ・・・・・・」


その瞬間。俺の目の前は白くなり、意識がスッと消える感覚がした。

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