第4話

 目標はとりあえず情報収集。姿を隠して、物乞いのフリをして情報を集める。

 廃墟をいくつか回って、ぼろきれをかき集めて服っぽい物を探す。

 ローブのようなものがあった、これ幸いと羽織る。

 セナがいるから人間の顔も割れてる。薄汚れた毛布を裂いて頭巾を作る。これで顔が隠れるはず

 足りない分は適当に通りを歩いて、裏路地に引き込んできた男を殴り飛ばして服を剥ぎ取る。

 最低限、みずぼらしくはあるけど恥ずかしくはない位にはなった。

(胸小さくて良かった。)

 男物でもすっぽり入る人間こっちの身体に感謝しながら。私は街へと歩き出した。



 いつもは普通に歩く街の中を、少し背を丸めて歩く。

 誰にも相手にされない誰かになりきって、目の前を過ぎる人の声を拾っていく


 ―聞いたか、昨日の夜の話?―

 ―あぁ、また人狼が出たってヤツだろ?―

 ―あれって、人さらいの扮装じゃなかったっけ?―

 ―今回は本物らしい、咆哮を聞いた人もいるそうだ。―

 ―いま、騎士団と教会が合同で討伐部隊を編成しているらしい―

 ―そうか、それなら安心だな―


(安心できないんだけど……)

 路地に腰を下ろして一息つくつもりが、ずいぶんと大きな溜息をついていた。


(でも分かったことがあった。

街の人は噂話程度にしか話さない。つまり、街全体が私に攻撃を仕掛けているわけじゃない。

にしては情報が早すぎる。誰かが意図的に噂を広めてる。

目的は多分私の排除。何でそんなことする必要があるのかは分からないけど、影響を強く受けているのが、セナとデヴィンとニグヘット、全員私の知人だ。そして……


相手が何なのか、私にはわかっている。)


 そこまで考えて、私は大きく天を仰いだ。

(問題は、そいつが……だね。)


「だ、大丈夫ですか……?」

 考え事をしてる時に急に話しかけられて、私はとっさに走って距離を取った。

(誰かが近くに来ていたことに気付かなかった。)

 すぐに迎撃できるようにしたまま身を翻して、声の主を見る。


 暗がりとなるその場所では、プラチナ色の髪が良く映えた

「る、ルルカ様!?どうしたんですかその恰好!?」

 私の良く知るシスターが、何も変わらずに心配してくれていた。


 その姿を見て、私は思わずへたり込んだ。

 どうやら私は、結構参っていたみたいだ。


「ルルカ様っ!大丈夫ですか!?って泣いてる!!?」

「よがっだ~!!じずだーざんはぶじだっだ~!!」

「わわっ急に抱き着いてこないでください、ちょっと!


なにがあったんですか~~!?」


 もうひとつわかったことがある。

 きょうのわたし、すっごいなきむしだ。

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