終話
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
「食べるねぇ~」
久々においしいものを口いっぱいに詰め込んでいると、フォークでスパゲッティを取るセナが微笑みながら言った。
「そんなに美味しく無かったの?地下牢のご飯」
ここはギルド併設の酒場。
あの後、真犯人の発見によって私の無実が証明されて、晴れて私は自由の身になった。
今日は私の出所祝いということで、セナとデヴィンに加え、騎士ニグヘットとシスターメディで円卓を囲み、たくさん注文してそれぞれ思うがままに食べている。
「んぐ……まぁ、黒パンとスープだけだったし、おいしくはなかったけど」
私は口に入ってたチキンを飲み込んでいった。
「何より量が少なかった。パン一個じゃ足りない。」
「悪かったな、量が少なくて。」
珍しく私服の騎士さまがスプーンでスープを掬いながら言った。
「囚人相手にそこまで豪華な食事など出せるか。」
「……コイツの食いっぷりで一瞬忘れてたわ」
さっきまで食べていたローストチキンの口直しにパンをかじったデヴィンが言った。
「あんときのシスター、あの後どうなったんだ?」
「……私も気になっていました。」
一足先に食事を終えて、デザートのフルーツを堪能していたメディが言う。
「シスターアリサは途中から、何かに憑りつかれたような有様でした。」
「……そうだな、お前たちも当事者だ」
ニグヘットがスプーンを置いて話し出した。
「端的に言えば、シスターアリサは憑りつかれていた。
……いや、催眠に掛けられていた、といった方が正しいか。」
「
「食うか喋るかどっちかにしろ」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
「って食う方に集中すんのかよ!」
つい復唱したらデヴィンに咎められたので遠慮なく口にマッシュポテトを詰め込んでいく。
「あぁ……どこかで何者かの“魔”を受けたのだろうと考えている。」
笑い声を漏らしながら騎士が続けた
「人間の技術ではこれほど長時間催眠をかけ続けることは出来んからな。
……彼女は仕切りに“御狐様は仰られた”と繰り返している。お前たちは知らないか?“御狐様”と呼ばれるような魔族を」
「……詳しくは知らねえけど、御狐っつってんなら」
デヴィンが言った
「狐の“内なる魔”……“相”だっけ?それを持ってるやつだろ。」
「それに加えて、催眠能力、ですか……」
メディが続く
「そんな魔族がいるのでしょうか」
「「いるよ。」」
私のセナの言葉が被った。
「本気出したら村いっこ滅ぼせるくらいのやつがね」
「“狐”と“変化”と“崇拝”。三つの相を持つ魔族。
『妖狐』
たぶん、いや間違いなくコレだと思う。」
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