Devil's Forest

 コロニアの外の世界はずっと広い森に囲まれていて、深部へは誰一人として行って帰ってきた者はいない。なので『悪魔の森Devil's Forest』と呼ばれ今では誰も足を踏み入れようとする者すらいなくなった。噂では丸い口ばしで大きな目、体毛は無く火を噴きながら雷鳴のような叫びを上げて躊躇なく襲ってくる悪魔や怪物、死神がむくめいているそうな。

 100年以上前の頃には毎年、各コロニー代表で最低一名づつの勇者を決めて新境地へと散策させていた風習があったそうだが、それも必然といずれかの代表会議で廃止となる。 


 ライトの兄、ウェルバーの云わば「林業」は一番危険な行為でもあり、古くからの名残で一部の人の間では勇気ある名誉として騎士のように持ち上げる者もいて、お年寄りの多くの人はウェルバーを褒め称えていた。しかし、一部では危険な行為、悪魔への挑発的な行為として禁止を訴える人も多く、伐採エリアなどは定められ幹ごと切り倒すのではなく枝葉を刈り取ることまでしか今では許されていない。切り倒す場合は必ず苗を新しく埋めてから行うように管理、制限されている。これも昔、多くの人が伐採行為をどんどんと無作為に繰り返していると、例の悪魔が大量に表れてその炎や魔法でコロニア人類の絶滅の危機が訪れたと『コロニア伝記』に記されているほどだった。今でも異端として『悪魔崇拝者』は下層エリアのどこかに隠れ潜んでいるそうだが、その大きな意味としては『森から民を守る』という大義名分であると主張している。

 噂では、森に住む者『Foresterフォレスター』の一族が居るとライトは聞いたことがあるが、見たという人は殆ど居ない。彼らもまた森に住まう悪魔と同様に伝説的存在ではあるが、兄のウェルバーは遠目ではあったが見たことがあると数年前に言っていた。


 ライトやThe Big H Gateザ・ビッグ・H・ゲートが空へと憧れる者がいるように、森へと憧れる者がいる。


 分類すると

 下層フロアは塔を中心に八方に広がるように8つのコロニーがあり、それぞれのプロパガンダで共鳴した同士が住んでいる。そこには分け隔てなく支配的な『セントラル教』を基本として指示する者を総称して

Centerセンター


 少数派の『悪魔の森Devil's Forest』を崇拝する

Foresterフォレスター

 森に住んでいる者と、崇拝する者、両方を差してそう呼応している。


 上層フロアでは

 『The Big H Gateザ・ビッグ・H・ゲート

 が支配的だが

 『Fátima Gateファティマ・ゲート正教』

 というごく一部の有識者だけが所属する秘密結社のような団体が存在する。この団体は信仰や崇拝対象そのものが謎とされ、一切、少なくとも下層界には存在自体が知られていなかった。


 下層界に比べて上層界の住居は人数が少なく、約十分の一程度なため第〇フロアのセンターやフォレスター、といった総称は無く下層民、表層階からはただの上層民で片付けられていて、お互いに一般人は深入りしない風潮が自然と出来上がっていた。

 17年前に起きた『フロア抗争』の時のように癒着と差別をし出さなければ、十分なほど以上に送られてくる配給があるので揉めることは基本的には無い。




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