なんでもない夜の花束／白波はるよ

なんでもない夜の花束

傘をさし君を待ちますぽつ、ろろと馬酔木の花落つ音を数えて

ロウソクのようだね生まれた誰も彼もおめでとう体温色のケイトウ

もし「くらえ！アリウムギガンチウム！！！」って撃ったらやさしい朝が来るかな

春まるごと幻惑だった薄紅のものたちみんなどこかに吸われて

夕色で星屑みたいでふわふわで愛されたすぎではアゲラタム

麦わらの帽子の君よりおばちゃんが過るうっさいふるさとがある

ささやきの白は震えるカスミソウジプシーの上まぐわうまるむし

虫籠の野花と蛹からころと子らは無邪気に地獄を混ぜる

四つめの♡《いいね》ください当方で幸せ型に並べますので

誰が為のふわふわなんだアゲラタム雨の日は捨て犬みたいだぞ

あまがえるキスしてごらんその芙蓉開いて姫になるかもしれない

三日月の舟は狭いよ茉莉花は降りなよ僕ら咽せてしまうよ

なんでもない夜の花束「ありがと」じゃなくて「ごめん」が出る附子でごめん

どうせとなんかで挟んでそんなことないよで生き返りたい押し花

振り上がるタクト待つごと蕾む百合フォルテッシモで夏が始まる

殺されず殺せる自信を滾らせて夾竹桃は晴天を喰む

ふわふわの凋んで思い出すそうだアゲラタムもまた花だったっけ

強いふりすんな弱いんだからって暴かれてよかった　立葵

ごめんいつも花降ってるよねそれ私逢えたら止むと思うよ待ってて

終点はここでいいかい、いくないか　セリアのガジュマルと行く湾岸