第3話 迷いと発見

朝日が木々の間から差し込み、森に新しい一日が始まった。山田翔太は、池の水が麦茶に変わるという信じられない体験をした後、さらなる探検を続けることに決めた。彼はキャンプ道具を片付け、リュックを背負い直して再び森の奥へと進んだ。


しかし、森の道はますます険しくなり、翔太は何度も道に迷った。木々の密度が増し、足元の地面も不規則で歩きにくかった。それでも彼はあきらめず、石碑が示す方向を信じて進み続けた。途中、鳥のさえずりや風に揺れる葉の音が彼の心を癒し、時折見かける小動物たちが彼の孤独を和らげてくれた。


正午を過ぎた頃、翔太は広い草原に出た。そこには一面に野花が咲き乱れ、美しい景色が広がっていた。彼はその草原でしばしの休息を取り、持参した弁当を広げて食べた。大自然の中で食べる食事は格別で、心身ともにリフレッシュされた。


休憩を終えた翔太は、再び森の奥へと進んだ。午後の陽射しが傾き始め、森の中は次第に暗くなっていった。その時、彼は遠くに小さな光が揺れているのを見つけた。興味を引かれた翔太は、その光を目指して進むことにした。


光の正体は、古びたランタンを持った老人だった。老人は翔太を見ると、優しい笑顔で迎え入れてくれた。


「君も麦茶の池を探しているのかい?」


翔太は驚きながらも頷いた。老人は続けて話し始めた。


「この森には不思議な力が宿っている。麦茶の池もその一つだが、それを見つけるには心の清らかさと強い意志が必要なんだよ。」


翔太は老人の言葉に耳を傾けながら、自分が本当にその条件を満たしているのかを考えた。老人はさらに深い森の奥へと続く道を指し示し、こう言った。


「この先に進めば、君の求める答えが見つかるかもしれない。ただし、道は険しい。心して進むんだ。」


翔太は感謝の意を表し、老人に別れを告げて再び歩き始めた。森の中はますます暗くなり、足元が見えにくくなっていったが、彼は決して諦めなかった。途中、幾度となく転びそうになりながらも、前進し続けた。


夕暮れが迫る中、翔太はついに大きな開けた場所に辿り着いた。そこには美しい池があり、水面には夕陽が反射して黄金色に輝いていた。池の周りには様々な花々が咲き乱れ、まるで楽園のような光景が広がっていた。


翔太はその美しさに心を奪われながらも、池の水を手ですくって飲んでみた。すると、再び口の中に広がったのは確かに麦茶の味だった。翔太は驚きと喜びで胸がいっぱいになり、この森の神秘を解き明かすための旅が報われたと感じた。


しかし、彼の冒険はまだ終わっていない。次の日も、さらに深い森の奥へと進む決意を固め、翔太は再び一歩を踏み出した。彼の探検は続くのであり、この森にはまだまだ多くの秘密が隠されているのだった。

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