麦茶池の不思議

みっちゃん

プロローグ

都会の喧騒に疲れ果てた山田翔太は、心の安らぎを求めて田舎の小さな町へと足を運んだ。連日の仕事に追われ、心身ともに限界を感じていた彼は、思い切って数日間の休暇を取ることにした。日々のストレスから解放されたい一心で訪れたこの町は、彼の心を癒すには十分すぎるほど静かで美しかった。


ある日の午後、翔太は町の古びた喫茶店に立ち寄った。店内はどこか懐かしい雰囲気が漂い、落ち着いた空間だった。カウンターに座り、地元の名物である手作りのケーキを楽しんでいると、一人の年配の男性が隣に腰を下ろした。その男性は地元の人々に親しまれている常連客のようで、店主と楽しげに会話を交わしていた。


ふとしたきっかけで、翔太はその男性と話をすることになった。話題は自然とこの町やその周辺のことに及び、やがて男性は「麦茶の池」の話を始めた。古くからこの町に伝わる伝説だというその話に、翔太の興味は一気に引き込まれた。


「森の奥深くに、麦茶の池があるんだ。見たことはないけど、噂じゃ、その池の水は本当に麦茶の味がするらしい。」


翔太はその言葉に驚きつつも、半信半疑だった。しかし、彼の中の好奇心が次第に膨らんでいくのを感じた。この休暇中に、その森を探検し、噂の真相を確かめるのも悪くない。そんな思いが彼の心を駆け巡った。


翌日、翔太はその森へと向かう準備を整え、冒険の第一歩を踏み出した。静かな田舎町に響く鳥のさえずりと共に、翔太の心は期待と不安でいっぱいだった。彼はまだ知らない、この森で待ち受ける不思議な体験と、そこで見つけるであろう真実を。

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