KIMIKO×KONO

第22話:プロローグ

人通りのない夜道を女性が一人で歩いている。

カツカツカツ、とヒールの音が通りに響く。


次第にその音の間隔が短くなり、女性は後ろを気にしながら小走りに駆け出した。


彼女が公園横の道に入って立ち止まると、後ろから襲い掛かる黒い影。


ぎゃっ、という短い叫び声と共に女は倒れ、起き上がろうと悶え、やがて動かなくなった。


切りつけられた肩から多量の血が流れ出ている。


周囲を確認する黒い影。


見ているものは誰もいない。


その影は肩を落とし、まだかすかに息のある女に近づくと、その左足から靴を脱がせた。


女の黒いエナメルのハイヒールが、街灯の光を反射させる。



影は振り返ることなくその場から離れ、やがて暗闇の中に姿を消した――。


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