遠方の友人と

遠方の友人と

大ヒットあれ未観賞何気なく言った言葉で友に誘われ

友人と誓い交わした休日へ赤丸付きのカレンダーあり

四年ぶり日本縦断ずんずんと新幹線は駅弁が良し

待ち合わせ灰色の空ベンチにて忘れ物して正気づく梅雨

覚めた目は駆け寄る友を見つけたり楽しみ歩む彼女の自宅

花咲かす思い出話は限りない故郷の土産菓子が尽きたり

遠出してわざわざ映画選ぶ訳我伝えたり君と見たしと

仄（ほの）暗い通路を歩き客席へ劇場で好きこの瞬間が

始まりの予告編から本番だこれも映画を盛り上げる種

集中しストーリーには予想外感動の波銀幕滲む

客席で感じた周囲のすすり泣きそれを察してメイク崩壊

証明が明るくなりて放心す鼻を噛む音背後よりして

お手洗いマスカラチェック異常あり直して戻る賑わうロビー

売店のパンフレットは観賞後ネタバレ多し良き判断よ

語りたいあのシーンたちこの時に共有せんと暮れの雨音

シアターに隣り合わせた喫茶店雨宿りせし共に夕餉を

友人と同時に頼むナポリタン映画を語る運ばれる前

雨上がりバーテンダーのいる店へ尽きること無し四年の話題

都会ではシェイカーを持ち二段振り遠くへ来たと自覚する宵

バーで出たジン・トニックの味のよう爽やかに咲く友との旅情