第219話
そのままエルフの村に入ると厳戒体制がしかれていた。
「・・・話には聞いてたけど本当に枯れかけてるなんてね・・・・・・」
厳戒体制の中を歩いていき先程エルフの族長ウィルマスと話した家に入る。
そこにはウィルマスさんと武器を構えた数人のエルフが待っていた。
やはりここでも厳戒体制だな。
「こんな物騒な出迎え方をしてしまってすまない、精霊王殿。皆気が立ってしまっていますのでご了承ください」
ウィルマスさんは他のエルフとは違い警戒心を隠している。
やはり族長というだけあって周りより冷静なのかもしれない。
「それはあの状況を見たら文句を言えないよ。それより御神木の様子を見せてくれないかな」
その言葉にウィルマスさんの周りにいたエルフ達がざわめきだす。
それもそうだろう。疑っているというか精霊王がやったと確信に近いものを持っているエルフ達なのだからその精霊王から見せて欲しいと言われても怪しいと感じるだろう。
ウィルマスさんはその言葉に手で顎を触りながら考える仕草をとる。
だが、考える以前にほとんど決まっていたのかその動作はすぐに終わった。
「わかりました。しかし、同行はさせていただきます」
その答えにウィルマスさんの周りのエルフ達はさらにざわつく。
「この状況は私たちでどうにか出来る問題ではない。それに同行して怪しい動きをすればそれこそ決定的な証拠になる」
ウィルマスさんはこちらにというよりエルフ達に向けて言ったようだった。
◆
御神木は村の中心に位置している。
僕たちが話していた家からそこまで離れているわけではなかったがその道中の周りから感じる警戒心はたとえ僕自身に向けられているものではないと分かっていても気持ちのよいものではない。
「これはさすがに堪えるね」
その警戒心をもろに受けているサテュロスさんにはさらにきつかったのだろう。
そして、さらに御神木に近づいていくとサテュロスさんの表情が強張っていった。
「どうされましたか?」
その事に気づいたウィルマスさんが問う。
「これは・・・・・・僕の魔力が別のところで一塊に集まってる?」
サテュロスさんは本当に驚いているようだった。
「それに何か危険なところが?」
「それは分からないけど、もし動くものにその魔力が集まってた場合・・・・・・」
「場合?」
サテュロスさんの話し方から周りには緊張が走っている。
「僕にもどうにも出来ない化物が生まれているかもしれない」
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