第193話
「そういえばまだ名乗ってなかったですね。私はカリア。ミリアの姉です」
「俺はノイン・・・です」
いつにもまして緊張したノインにカリアは優しく微笑みかけながら持っていた荷物の中身を取り出す。
「ごめんなさい。買ったものしかないけどよかったらどうぞ」
「お、お構い無く」
カイがこれを見たら、普通は偉い人に会ったときにそうなるんだよ!と言うだろうが、ここにいるのは今日初めてあった人であるためその指摘は受けなかった。
ベッドの間にあるテーブルに並べられたのはコップに入れられた牛乳、コッペパン、その他著ちょっとしたお菓子だった。
牛乳とコッペパンという辺りから給食感が出ているがこの世界に給食という文化はあっても牛乳やコッペパンがその代表例であるかと言われれば違うためそんな感想は出てこなかった。
「・・・いただきます」
断るのも失礼だと思いまずは牛乳の入ったコップを手に取る。
ひんやりとした感覚が口の中に広がると同時にこれまで飲んできた牛乳よりはるかに美味しい味が口の中に広がる。思わず目を見開きながらカリアの方向く。
「美味しいでしょ?獣人の間では一番人気の牛乳なの」
「美味しいです」
「そう、良かった。遠慮せずに食べて良いからね」
「ありがとう御座います」
◆
「そう、仲間は全員恋人か婚約者がいて自分だけ暇だったのね」
何をしていたのかを話す際に経緯まで話したのだ。
「・・・・・・はい」
特に寂しさは感じていないノインであったが改めて言語化されるとくるものがあった。
「それならまた、暇な時はうちに来ても良いですよ。あなた方がいる間ミリアもあまり帰ってこないですし」
「いや、流石にそんなにお世話になるわけには」
「良いのよ。私も一人は寂しいですし」
「・・・・・・わかりました」
大分打ち解けては来ていたもののやはり断ることは出来なかった。
◆
あれからノインは海底に行ったためしばらくそこに来ることは無かった。
そうして時が流れノインが帰ってきたとの報告をミリアから受け取ったカリアはミリアに伝言を任せた。
◆
疲れから帰ってからすぐに寝てしまったということを寝起きのあまり頭が回っていない状態で思い出すことにはそれなりに時間を要した。
そんな中で唐突に部屋の扉が叩かれ始める。
眠たい目を擦りながらゆっくりと立ち上がりドアを開ける。
「あ、起きてますです?お姉ちゃんに会いに行かなくて良いんです?」
言うまでもなくミリアであった。
「後で行く」
「今なら連れていくです」
ノインの発言は全く無視して連れていくと言うミリアの勢いに押されノインは連れていってもらうことにした。
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