第176話
「私は話したいことがあるから先に帰っていてくれ」
「どうやって帰るんだよ?」
「忘れたか?私も不完全だが移動魔法を使えるんだぞ?」
「ストップ!それは駄目だ!!というか使わないようにって言ってただろ?」
「どうした急に大声を出して。だが、どうしても話しておきたいことがあってな。緊急事態だ」
「なら、今話せば良いだろ」
「私も気は進まないがそこまで嫌がられると少し傷つくな」
「先に部屋から出てるから話し終わったら出てきてくれ」
傷つくというのは無視して代案を提示する。
「皆良いのか?」
それぞれが頷く。
「それ、僕も聞いといて言いかな?」
サテュロスがそう問う。
「私は構わないが・・・・・・」
レクスの目がディルダーの方を向く。
「俺の許可がいりそうってか?それなら心配ないぜ。どうせここは獣人の国の一部って判定だ。獣人の王には情報を公開しなければならない」
「じゃあ、僕らは部屋に戻っているから終わったら呼んでくれ」
「わかった」
こうして、僕たちは部屋を出て部屋にはサテュロス、ディルダー、レクスが残った。
◆
僕は部屋に戻っていた。そこまで時間は掛からないだろうとマイも僕の部屋に来ている。
「危なかったね」
マイの一言目はそれだった。
その一言で何のことを言っているのか分かった。
「うん、さすがにああなったら嫌だしね」
ああなったらというのは以前仰向けの時にマイがその魔法を使い結果的にキスになった時のことである。
当たる寸前はまだ良いとしても完全に当たってしまうと流石に抵抗感があるし、何よりそうなってしまった場所の空気が死にかねないというのが怖い。
とりあえず何とかなったが改めて使わないように念押ししておかないといけないな。
「笑ってるけど、そうなったら嫌でしょ?」
「・・・・・・嫌・・・ではない・・・よ?同性に・・・そういう感情を抱いても・・・何も問題はないから」
「普通に嫌そうじゃん?」
「だって、そうなったら私、邪魔物になっちゃうじゃん」
「そうならないし邪魔物になることは絶対にないよ」
◆
「それで話ってのは何なんだ?」
「考えすぎかもしれないですが私が戦ったブマハチ殿だけ他と比べて少し違ったんです」
「どういうことだい?」
サテュロスが興味深そうに聞き返す。
「聞いた話によると死神様に仇なす者は容赦しないという文言以外何も発しなかったと聞きました」
「確かに俺のところはそうだったな」
「そういえば僕のところも」
「ブマハチ殿は自ら名乗り私達が人間であることも気づき話していました。もしかすると・・・」
「よく分かった。その事は最大限注意しておく」
「ヤバくなったら僕を呼ぶように」
「わかっている」
こうして3人の会話は終了した。
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