第149話看病
マイが宿に戻ってしばらく経っていた。
しかし、すぐに戻ると言っていたカイの姿は無かった。
さすがに心配になってきたため部屋を出て外に出てみる。
やはりカイの姿はなくより心配になる。
いてもたってもいられなくなりとある魔法を使った。
◆
「きゃっ!」
マイが使った魔法は移動魔法。その魔法は不完全なためカイの前にしか移動できない。
マイが魔法を使ったときカイはというと倒れていたため、その真上に何故か平行に移動していた。
そうして重力が体を襲い下のにいるカイに落ちた。
そこまでの高さではなく手と足がなんとか間に合い勢いを殺すことは出来たが接触はまぬがれなかった。
それだけだったら良かったのだが、カイが仰向けだったため唇と唇が重なってしまう。
思わぬキスに赤面してしまうマイだったがその瞬間カイの目が開いたことによりさらに赤くなってしまう。
そして、すぐに離れた。
「どうしたの?」
カイも戸惑いを隠せていないがそれ以上に動揺しているマイ。
カイの問いに答えることも出来なかった。
その間にカイの頭が働き自分が倒れたことを思い出した。
そして、なぜあんな状態だったのか考えてみる。
「もしかして、僕呼んでも起きなかったりした?」
首を横に振るマイ。
しかし、そうなってくるとなぜあの状態になったのかわからなくなり考え始める。
「・・・・・・その、移動魔法使ったらあの状態に」
なんとかマイが説明した。
カイもなるほどと納得した。あの不完全な魔法は本当に僕の目の前にしか移動できないのだろう。
「じゃあ、戻ろうか」
どう声をかけて良いかわからなかったカイは帰ることを提案し立ち上がろうとする。
しかし、体が言うことを聞かず地面に両手をつく結果になってしまう。
「あれ?」
マイも異変に気づき駆け寄る。
その時マイはカイの顔色が普段より悪いことに気づく。
先程までは動揺していたこともあり気づかなかったのだ。
今はその動揺は吹っ飛びカイのおでこに手を当てる。
「すごい熱。ちょっと待ってて」
そう言ったマイは回復魔法をカイに施す。
「ああ、そっか回復魔法の手があったか。ありがとう、少し楽になったよ」
以前熱を出した時はマイに気付かれないようにしてたから回復魔法という手段を思いつかなかった。
地球ではそんなものなかったし。
そうして立ち上がるカイにマイは
「病人はベットだよ」
そう言いカイを押して寝室へと移動する。
「あの・・・もう大丈夫だよ」
勢いに押されているカイが抗議の声をあげるがマイは聞く耳を持たない。
実際カイは少し楽になっているが体調が治っているわけではない。
マイはそれに気づいているのかもしれない。
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