第144話リーセスの本質
レイが目を覚ますと近くにはリーセスがいた。
しかし、いつもと様子が違う。
「リーセス?」
そう、声をかけるとリーセスはビクッとして一瞬こちらを見た後、背中を向けうずくまった。
「大丈夫?」
普段と明らかに違う彼に戸惑ってしまう。
「人と話すのは怖い、不安になる。でも、話さないと誰も近寄ってこない」
普段の明るさに隠れていた彼の本音に戸惑うと同時にそれに気づくことが出来なかった自分を恥じた。
それと同時に自分が彼を助ける番だと思い、彼を後ろから抱き締めた。
「私はどんなリーセスでも好きだよ」
「うんうん、合格だよ。それは厳密には彼ではなくて彼自信に隠された本質を濃くして人格形成したんだ。でも、彼の本質と言うことには変わりない。さっきの調子で彼を頼んだよ」
そう言う精霊王はレイをノインの待つ元々の部屋へ送り次の場所へ向かっていった。
◆
精霊王に言われた死神から逃げ切れてないという言葉を考えている間にいつの間にか精霊王は消えており代わりにもう一人の自分がいた。
「なんや?これ」
「寂しい。近くに誰かいて欲しい・・・・・・けど話すのは怖い。誰か助けて」
「んな!?」
これは昔自分が思っていたことだ。しかし、それは明るく演じることで吹っ切ったはずだ。
そのもう一人の自分が僕に襲ってきた。
明らかに死神の目の力を使っている。それがわかるほどに強かった。
「昔の自分を倒せっちゅうんか。精霊王も趣味が悪いな」
封印していたはずの自分の気持ちを引き出されたリーセスの気分は良いものでは無かった。
もう一人の自分に対抗するために死神の目を使おうとする。
しかし、発動しようとしたとき妙な悪寒に襲われそれをやめた。
「何でや?」
「死神の目の力も代償も君の本心、ここまで来れば別人格と言っても良い。その目の前にいるのが全て引き受けているんだ。それを引き剥がしている今死神の目を使うとすぐにでも死神の支配下に戻るだろうね」
リーセスの声に答えたのは精霊王だった。
「どういうことや?」
急に後ろから聞こえた声に驚きながらも尋ねる。
「君の死神の目はカイのものとは違う。対人戦だけでなくどのようなものと戦うときでも通常以上の力をお使うことが出来る。その代わり、死神の支配下におかれる。実感しているとすれば支配されているとき君が通常の攻撃魔法を使った目撃情報があっただろう?それも効果のひとつだ」
情報が結構色々あったがリーセスは府に落ちたという感じだった。
「君がやるべきことはひとつ。もう一人の自分を受け入れるんだ」
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