第124話帝国の様子と旅行出発
時はさかのぼり、ドラゴンの攻撃のあった帝国の帝都。
立派にたっていた皇城も半壊し、今だ燃えている。
その様子に帝都民は唖然と見ることしかできない。
そうして皆が立ち止まっている中、
「逃げろ!!皇城から離れろ!!」
という声が響く。
その声は帝都民全員が知っているといっても過言ではない人のものだった。
その人物は最近帝国で話題の冒険者だ。
帝国の冒険者はランクが上がるほど乱暴なものが多いのだが、彼のパーティーはAランクという実力を持ちながら人当たりがよく帝国で一番評価の高い冒険者であった。
彼らはある人物を探していたため帝都に住んでいたら一度は話したことがあるという人が多かった。
そのためかその声に皆が応え皇城から離れていく。
「これは何事でしょうか」
皆に声をかけた人物に話しかける一人の男性。名前をサイルという。
「さあな、リーセスが中々見つからないから帝都に来てみたのは良いがこうなると帝国で探し出すのは難しくなるな」
リゼイルはそう答える。
「そうね。これだと帝国から離れちゃうでしょうし」
近くにいたもう一人の女性、リーリエが賛同する。
そう、彼らはリーセスを探す過程でランクをAにまで上げ今は帝国内を探していたのだ。
飛び級試験を使わず5年でCからAに上げることは最速と言っても良いほど早い。
飛び級試験を使わずという一言がいるのはどこかに最低ランクから最高ランクに飛び級した冒険者がいたからである。
「やはり、逃げるとすればウェンテライウ王国になるでしょうか?」
「そうだな。しばらくここで冒険者活動なんてできないだろうから王国に行ってみるか」
「そうしましょう」
彼らは確実にリーセスに近づいていた。
◆
リーセスを追う彼らが去った後も帝都は混乱に包まれていた。
皇城の延焼は止まったが皇帝が行方不明。
兵士たちは戦争に出払っているため人員不足。
各地で民の不満が爆発しレジスタンスが続々と出てくるなど様々な問題が押し寄せ貴族の半数はレジスタンスに破れ処刑された。
そうして再起不能になった帝国にウェンテライウ王国から戦争に勝利したため我々が統治するという書状と共に大きなニュースとなって帝国中に広まった。
帝国民としては待遇の良い王国が統治してくれるのは夢とも思えるほど嬉しいことだった。
逆に貴族にとっては今までの恩恵を受けられなくなるため不満の声が漏れるところなのだが貴族の半数が既に処刑されているという現状から受け入れるという意見が大半となった。
処刑され殺されるよりも貴族を捨て生きようとする者が大半だったためだ。
反対する貴族もいたがそれはすぐにレジスタンスにより処刑された。
こうして荒れに荒れた帝国は元々治安が悪かったがさらに悪くなっており、王国による再建には時間がかかりそうである。
◆
急に旅行の話が出た僕たちはどこに行くか考えていた。
といっても僕はあまり詳しくないため案を出すのはマイである。
「そうだ。温泉旅行はどう?」
温泉というと思い付くのは露天風呂だがこの世界にもあるのだろうか。
もしあるとするなら冬に露天風呂。
なんか絵になりそう。
「良いんじゃない?どの辺にあるの?」
「イワルナという町にあって、前にいった草原の南にあるよ」
ということは帝国の近くなんじゃ・・・・・・
「大丈夫なの?帝国の近くでしょ?」
「ローゼさんが王国が統治するようになったからもう帝国方面は安心だと言ってたよ。帝国内は荒れてるけど帝国にさえ行かなければ大丈夫だって」
その情報旅行の幅を利かせるために技と話したな。
多分だけれど。
「なら、そこに行こうか。移動はどうする?多分魔法で一発でも行けるけれど」
「それだと旅行感がないから馬車で行こう」
マイがそう言うのだったらそうしよう。
そして、急だが明日の朝には出発することになった。
草原の南と言っても南西に当たるため草原よりも近い。
そのため朝出ればその日の夜には着くようだ。
◆
翌朝。
インベントリがあるため準備はほとんど要らず馬車を貸しきって移動することになった。
王子の護衛の仕事でがっぽり稼いでいるからそれぐらいは余裕だった。
後、この世界にはゲーム機がないためそれにお金を使うことがない。
そのためそれ以外の趣味があまりなかった僕にはお金の使い道がなかったのだ。
こういうときに使わないどうすると貸しきったわけだ。
というわけで馬車の中は二人きりなわけだがマイがいつも以上にベッタリくっついてきている。
二人きりの空間でそうされると皆の前よりも緊張してしまう。
御者がいるため正確には近くに一人いるのだがしきりがあるためその感覚はゼロに近い。
昼頃に一度途中の町で休憩と食事をし夕方とも夜とも呼べる時間にイワルナに着いた。
御者の人には帰りも送ってもらうが一旦別れて僕たちは温泉付の宿を探した。
探し始めるとすぐに見つかり部屋もとれた。
ちゃんと二人部屋だ。
と言うか部屋を二つとろうとしたらマイからすごい圧を感じてそうしたのだ。
いや、今さら二人部屋を拒否なんてしないんだけど温泉上がりの服装を想像すると・・・・・・
男なら分かってくれると信じている。
しかしこうなった以上仕方ないため温泉に入ることにしたのだった。
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