第121話表彰とパーティー

さて、どうしようか。

まずは断ってみるか。

「すみませんが急いでいるので」

「なんだよ兄ちゃん、つれねえな。一瞬で終わるから」

こいつは自信家なのか負けると思って挑んでいるかのどちらかなのだろう。

立ち振舞いからして脅威を感じない。

言葉通り一瞬で終わらせることはできるだろう。

しかし、面倒くさい事には変わりないし受ける義理もない。

「分かりました。それでは手続きを」

「お、サンキュー」

断る方が面倒くさそうでした。

それにこれが抑止力になる可能性もある。



結局一瞬で終わった。

もちろん僕の方が勝った。

彼がどういう目的で僕と飛び級試験をしたのかは謎のままだ。

勝負に勝って心理戦に負けた感じだ。

本人に直接訊いても良いのだが正直に話すか分からないしまた絡んでこられても迷惑なため辞めておく。



こうしてギルドを出た僕は昼前ということで家に帰った。

家では変わらずマイが出迎えてくれた。

その時マイが右腕につけていたブレスレットが淡く光っているように見えた。

あれ?と思い目をこらしてみるが光ってなかった。

幻覚でも見たのだろうか。

あまり疲れるようなことはしてないはずなのだが・・・・・・

まあ、気にしないようにしよう。


その夜二人のブレスレットが光っていたが二人とも気づいていない。



それから数日後。

ついに表彰される日が来た。

当日に突然レクスから渡されるようになった。

それは国王が病に倒れたからである。

それはまだ公表されていない。

通常、王子が渡すのは違和感があるだろうが僕が王子の護衛であることは知れ渡っているため民衆は特に疑問に思うことはなかった。


「カイ=マールス殿、ご入場!」

王城の広間。

そこに貴族達が集まり左右に別れ、一本の道が出来ていた。

マイも関係者ということで貴族の中に一人混じっている。

隣にローゼさんがいるから少しはマシだろうけどかわいそう。


出来ている道を進み指定されていた位置で止まる。

すると奥からレクスが出てくる。

「貴殿は此度の戦争において相手の主力を倒し、巨大なドラゴンを倒した。この成果を評価し国民栄誉賞を授与する」

なぜ国民栄誉賞という名前になったかって?

新しい賞の名前が決まらないとレクスに言われ前世の記憶でこの賞ぐらいしか当てはまる賞がなくこれになってしまった。

正直重荷でしかない。


缶バッチ的なものと盾をもらった。

正式な場では缶バッチ的なものをつけないといけないらしい。

忘れそうだしなくしそう。

いっそのことマイに管理を任せようかな。

それは頼りすぎか・・・・・・

とりあえずなくさないようにしよう。


そうしてパーティーに移っていく。

エイル王国の時の再来かと思ったが今回は初めからマイがべったりくっついていたためそうはならなかった。

その代わりに挨拶に来た貴族の方達にそれぞれの言葉でラブラブですねと言われてしまった。

さすがに恥ずかしかった。


しばらくしてパーティーが終わったわけでも無いのに誰も寄ってこなくなった。

そう思っているとこの場ににつかない服装の男性とも女性ともとれる人が近づいてきた。

「今日の夜、あのブレスレットをつけて寝ること。用件は夢の中で話す」

中性的な声でそれだけを言い去っていった。

何事かと思ったがまた貴族の方達が挨拶に来始め考えることが出来なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る