第110話謁見

謁見の間前。

僕と同行を許可されたマイが立っている。

しばらく待っていると扉が開けられた。

完全に開くのを待ち中へ入る。

以前レクスと入った時に立ち止まった位置で止まる。

周囲を確かめると以前より側近の数が少ない。

最小限といった感じだ。

「すまないな。疲れているところだっただろう」

側近が少ないからか気さくな感じだ。

「いえ、大丈夫です。用件というのは?」

「そうだな。早く済ませようか。

今回の件、とても助かった。もしあのまま討伐されていなければこの国も危なかっただろう。

その功績として貴族位を与えるという案が出ている。どうだ?」

突然出された貴族位を与えるという話。

よく見れば将来安泰。

しかし、大変なことはいろいろあるだろう。

貴族同士での会談は腹の探り合いというイメージがある。

後は貴族の所作なんか求められても出来ない。

それにこの国に拘束されるのは都合が悪い。

「すみませんがそれは辞退させてください」

「まあ、そう言うだろうな。だから、この話はもう潰してある」

凄いな。仕事が早いどころの話じゃ無い。

先読みして仕事を効率化しているのだろうか。

「ただ、何も与えないというのは無理なのだ。だから特別に賞を準備する話になっている。表彰式を開催する日時はまた後で伝える。それに伴ってレクスの護衛の任は解く。外交的に力のある者を護衛につけると不満が出るからね」

やっぱり先読みして仕事してない?

受賞することになってるよ。

レクスの護衛を辞めるのは寂しいが事情が事情のためしょうがないだろう。

「心配するな。普通の護衛を辞めてもらうだけだ」

今度は心を読まれた?

「通常時の護衛になってもらう。仕事の内容はそこまで変わらないが、外交の会談などの護衛は外れてもらう」

なるほど。学校の時の護衛とかは継続というわけか。

「分かりました」

「了承してくれて良かったよ。これからもよろしく頼む」

「はい」


こうして謁見の間を退室しようやく家へ帰宅。

その頃にはもう夕方になっていた。

今日は休日だったのだろうかと思えるほど疲れた。

家に入った途端力が抜けてリビングの床に寝転がる。

「だ、大丈夫?」

後ろから声をかけられる。

当然マイである。

「疲れたー」

正直にそう答えると彼女はクスクスと笑った。

「今日の夕食は期待しててね」

そう言い台所へ行くマイ。


今日の夕食はハンバーグでした。

言わずもがな美味しかったです。

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