第95話遭遇
帝国軍。
彼らは今まさに国境を越えようとしている。
「報告します。敵軍の前線はまだ遠く魔法の射程範囲外です」
一人の兵が指揮官である者に報告する。
「全軍進軍再開!」
指揮官が号令を出すと皆一様に動き出す。
軍の半分ぐらいが国境を越えたとき予期せぬことが起きる。
ドコッ ドコッ ドコッ
爆発がそこら中で同時に起こったのだ。
相手への牽制のために前方に多くいた魔獣はほぼ壊滅。
先ほど指揮をしていた指揮官も巻き込まれ軍はパニック状態に陥る。
このときほとんどの者は罠を仕掛けられていたのだと思った。
通常魔法の射程距離は50メートルから1キロメートルである。
それに対し王国側は約10キロメートルほど離れている。
ここまで魔法を届かせることができたのは、カイが転生してから欠かしていない訓練のたまものだろう。
これを真似できる人間はいないだろう。
そのため射程範囲外だと思っていたのだ。
だからこそ罠であると考えたのである。
しかしそれは違うということが残酷にも突きつけられる。
残っていた魔獣が次々と火だるまになっていったのだ。
的確に魔獣だけが罠にかかるというのはあり得ないことだ。
そこで不安や恐怖念が広まっていく。
指揮系統は乱れ士気は低下。
これでも最悪といえる状況なのだがこの悪夢とも言える状況は地獄へと変わっていく。
『グオーーーーーーーン』
どこかこもったようなしかし、聞いた誰もが畏怖してしまうような咆哮がどこかからか聞こえてきたのである。
大混乱の帝国軍。
そんな中、次は地震が起こる。
現れたのは巨大なドラゴンだった。
「グオーーーーーーーン」
そして現れてすぐの咆哮によって帝国軍の兵達は気を失いその場にバタバタと倒れていった。
初めの魔法を撃って大体の魔獣は倒すことができた。
しかし、後ろの方にまだ魔獣がいるのが見える。
さすがに届かないし、狙いが定まらないので移動魔法で半分ぐらい距離を縮め浮遊魔法により浮き、残りの魔獣にも魔法を放つ。
一体一体狙いを定めて撃っていく。
そして、最後と思われる魔獣に魔法を放ち帰ろうとしたとき、僕を呼び止める声が聞こえた。
「カイやったか?えらい凄い魔法使ったな。真意を聞いてもええか?」
関西弁だと思いつつ答える。
「どちら様でしょう?」
「名前はリーセスいいます。限りなくお前さんと近い境遇っちゅうところやな。この目、見てみ」
限りなく近い境遇というところでもしかしてと思う。
ひとまず言われたように目を見てみる。
それは紛れもなく死神の目だった。
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