第93話戦争当日の朝
翌日。
朝には帝国軍が近づきつつあるという情報が入ってきた。
昼頃には相まみえることになると予想されている。
と言っても始まってすぐに出番ということはなかなかないと思われるためゆっくりとした時間を過ごしている。
初めはマイの同行に反対していたが、今は同行してもらって良かったと思っている。
なぜって?
理由は簡単。
癒やしてもらえるから、以上。
ということでテントの中でイチャイチャしてます。
初めは周りの視線もあり同じテントは嫌だったけれどその視線を耐えテントに入ったら勝ちだ。
そこからは楽園とも思える時間を過ごすことができる。
もし、違うテントだったとしても寂しくなって結局同じテントで過ごしてそうだ。
僕、そんな寂しがり屋じゃなかったんだけどな。
そんなことを考えていると来客者が来た。
呼びかける声はレクスのものだった。
入る許可を出すとすぐにレクスが入ってきた。
「お邪魔する。・・・・・・ってなんだこの甘ったるい雰囲気は。戦争を控えているというのに・・・・・・」
「悪かったな」
レクスは呆れたように言っているが少し安心もしていた。
それは初めて戦場に来て戦争を間近で見、もしかすると参加しなければならなくなるということへの緊張もあっただろうが、それよりも自分の中で最も強く信頼している男が緊張しているそぶりを見せなかったからだ。
もちろんカイにそのような意図はなく、単純にマイとの時間を楽しんでいるだけなのだが。
「まあ、良い。用件を伝えよう。遠くからだが、最上級の魔獣が確認されたようだ。しかも確認された魔獣はすべて最上級だったそうだ」
「ということは僕の出番は早々に来るってこと?」
「そうなるだろうな。だから準備はしておけよ?」
「ああ、分かってる。でもなんで王子が報告に来てるんだ?」
「朝、情報を伝えに来た者がいただろう?そのときもこの雰囲気だったのだろう?それでもしかすると見てはいけないものを見てしまうんじゃないかと誰もここに行こうとしなかったらしくてな。しょうがなく私が来たんだ」
あれ?そんな誤解されていたの?
特別にいつもよりもイチャイチャしているわけではないんだけどな。
「そんな風に見える?」
「まあ、見えるな」
まじか。それはちょっと気をつけないとな。
そういえばマイが会話に入ってこないなと思い見てみると、
「え?・・・そ、そんな風に・・・・・・恥ずかしい・・・・・・」
顔を赤くしてそうつぶやいていた。
「私は帰ろう。この雰囲気の中にいるのはさすがにキツい」
え?そんなに?
レクスは足早に去っていきテントには僕と赤くなったマイが残された。
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