第92話前日
少し時間がたった。
僕たちは一緒にテントから出た。
「待っていたぞ。私にも死神の目について分買ったことを教えて欲しい。だが、強制ではないから言いたくないことは言わなくても良い」
テントの外ではレクスが出待ちしていた。
レクスは何かあったことをマイの行動から予想したのだろう。
「大丈夫だよ。とりあえず中に入って」
「俺も良いか?」
レクスの後ろからロヴァイトさんが来た。
断る理由はなかったため4人でテントの中に。
こうしてテントに逆戻り。
僕がどういう理由で死神の目を使わないようにするという結論に至ったかを説明する。
2人は考えるそぶりを見せつつ
「私の勘は少し外れていたな」
確かに。レクスの勘が外れるのって珍しいな。
「すまない。俺が気づくべきだった」
「いえ、僕も自分では気づけなかったので同じですよ」
その後、2人からも死神の目は極力使わない方が良いと言われた。
そして、この話は一旦やめてテントから出ることにする。
そこに広がっていた光景は、戦争を控えている兵士達とは思えない異様なものだった。
魔法兵でないと思われる兵達はみんな一様に剣を振ったり模擬戦をしたりしている。
見渡せる限りでそれをしてないのはアゴットさん位だ。
今日って休む日だよね?
訓練しちゃって大丈夫なの?
とりあえずアゴットさんのところに行き事情を訊いてみる。
すると、アゴットさんは困ったような顔をしながら説明してくれた。
「あの模擬戦を見て感化されたようで私にも止められませんでした」
「士気を上げようとしたがやり過ぎたか」
レクスもここまでになるとは考えていなかったのだろう。
レクスは大きく息を吸う。
「皆の者、よく聞け!今回の戦争はこれまでより激しいものとなるだろう。訓練は中止して今すぐに休むこと。これは命令だ!」
おのおの訓練をしていた兵達はこれを聞き少し名残惜しそうにしながらも各々のテントに入っていった。
さすが王子と言うべきだろうか。
「さすがでございます。お手を煩わせてしまい申し訳ございません」
アゴットさんも同じことを思ったようだ。
「いや、かまわない。あくまでこうなる原因を作ったのは私だからな」
そういえばそうだった。
自分のまいた種を自分で回収しただけじゃん。
少し見直したけど損した。
こういうこともあったがその日は戦争が始まることはなく戦争が始まると予測されている明日が近づいていくのだった。
この後起こることは僕たちも帝国軍も予想外な最悪の事態となる。
それを知っているのはリーセスと死神、そして………………
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