第71話学校再会

時は少し遡る。

リーセスはある人物に報告していた。

「仲が良いと思われる2人の誘拐は失敗。しかし、遠目でしたが確かに死神の目の発現を確認しました」

「そうか、ご苦労だったな。次の仕事はおって連絡する。下がって良いぞ」

「はい」

言われたとおりに部屋から出ていくリーセス。

(折角自我を取り戻せたっちゅうのに死神の目があそこまで発現してるとなると………………助けに行きたいけんど今はまだ操られとるふりせなあかん。次は多分戦争の時やろうからそれまで耐えてくれよ、カイとやら。

………………あ~あ、平和な地球が恋しいわ~)







学校は1日臨時休校をもうけてから再開された。

魔法祭は中途半端だったが終わったということにし、今日はその片付けから始まった。

と言っても僕達は初日の内にほぼ片付けを終わらせていたから掃除して終わった。

昼まで時間をとられていたが結構早めに終わったため自由時間になる。

なったのだが………………

「マイ、どうしたの?」

異様にマイが僕にひっついてくる。

「嫌だった?」

「全然」

上目遣いは反則だろ。

「なんだ。いつにもましてラブラブじゃないか」

このタイミングでレクスが近づいてきた。

イジられるのは嫌だがレクスが来たことでマイが離れた。

レクスにスッと近づき他に聞こえないように話す。

「何でこの状況になったか知らない?」

「容易に予想がつくが………まさか気付いてなかったのか?」

「何を?」

「はぁ。お前は鈍感だな。今日の掃除のときに魔法も使って手際よくやっていただろう?その辺りからクラスの女子何人かの目が明らかに変わっていたぞ」

「変わった?………もしかして死神の目?」

「なわけあるか!!クラスメイトを見る目から異性を見る目に変わっていたということだ」

「それだけで変わるかな?」

「清潔感のある男子はモテるからな。それで魔法の腕は学校トップ。婚約者がいるとしても異性として意識してしまったのだろうな。それこそスタールがいなければ今頃その女子達に囲まれていただろうな」

なるほど………

「でもそれなら近くにいるだけで良いんじゃない?」

「少しも可能性が無いことを見せたいんじゃないか」

「それって僕の方が積極的にしないと意味なくない?」

「まあ、その方が効果は高いだろうが…………

おい、ちょっと待て、カイ何する気だ?」

レクスの制止の声は僕には届いてなかった。


「マイ」

そう呼びかけながら抱きしめる。

「えっ、ちょっ」

突然のことに驚くマイにそのままキスをした。

劇の時とは比べものにならないほど長く。

この教室内にそれを止められる者はレクスしかいなかったがそのレクスも呆れているだけで止めようとしない。

そんな時間は唐突に終わる。

「何やってんだ」

その声が聞こえた瞬間後ろから弱めのげんこつを受ける。

それで我に返り急いで後ろを見るとベン先生がいた。

「えっと……あの、これは………その……………」

「なんとなく理由は分かるが家いや、せめてクラブ活動の時間までは我慢してくれ」

ヤバい方向に誤解されてる。

こうなった経緯を先生に話す。

もちろん他の人には聞こえないように。

それで何とか誤解をとき自由時間が終わった。


余談だがこの後このクラスでカイやマイを異性として意識する者はいなくなった。


午後からはロヴァイトさんによる剣の訓練だった。

「大丈夫でしたか?」

「ああ、この通りなんともない。お前は迷いが無くなったようだな」

ロヴァイトさんにも気付かれていたのか。

「ご心配をおかけしました」

「あの時は俺も不甲斐なかったからな。お互い様だ。………挨拶はこれくらいにして授業を始めよう」

その日のロヴァイトさんはとても張り切っており先日の件が悔しかったことがすぐに理解出来た。


そして、クラブ活動の時間となる。

「俺をもっと強くしてくれ」

「私もお願いします」

クラブ活動が始まってすぐノインとレイからそう言われた。

「2人とも突然どうしたの?」

「「一昨日何も役に立てなかったから」」

こういう場面で声が揃うのは流石双子と言うべきだろう。

「それを言うなら私もだな。ほとんど役に立てなかった」

「私も」

レクスとマイまで名乗り出てきた。

困ったな。

今すぐ強くなる方法なんて無いし、新しい魔法を教えるっていっても教えるのが難しいのしか残ってない。

………いっそ魔法の同時発動でも教えてみようか。

魔方陣があれば出来るけど同時発動が出来るならその方が戦いやすい。

ということで教えてみたけど今日のところは誰も習得出来なかった。

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