第66話疑念2

王都に帰るといつもは活気がある場所も人が出歩いてなかった。

その様子を見ながら王城に向かい、まずはレクスの部屋で情報をまとめることにする。


「あの男は自分は死神の使者だと言っていた。それ以外だとカイ君を一番の脅威と考えていて、人質をとろうとしていたな」

それを聞いた瞬間その男に明確な殺意を持った。

「おい、落ち着け。私もスタールも無事だったんだ」

どうやら殺気がもれていたようだ。

僕はやはり何かおかしい、そう思わせるには十分だった。

そう思ったことは隠しつつ殺気を出した事を謝る。

「カイ君、私のために怒ってくれるのは嬉しいけど人を殺しちゃったらダメだよ」

……………人を殺したらダメ………か。

当たり前のはずなのに僕の中の何かがそれを否定している気がする。

「分かってるよ」

こう答えないといけないのは分かっている。

いや、本音で答えてこの場を去る方が良いのかもしれない。

僕にこの場は相応しくないのではないか。

その思いは時間が経つにつれ次第に大きくなった。


とりあえず今日は解散ということになり、今にも戦いに行きそうなロヴァイトさんをスタール亭に送った後家に帰ってきた。

家に帰るなり僕はマイを抱きしめた。

「ごめん。すぐに駆けつけられなくて」

「ち、ちょっとカイ君?急にどうしたの?」

急だったので不意打ちされた感じなのだろう。

「急にごめん。何でもない」

多分これが最後になるだろう。

今自分の中にある殺意を制御出来ずにもしマイに向けてしまったら……………

そう思うとここを去るには十分な理由だった。

「どうしたの?暗い顔して」

「いや、何でもない」

ここを去った後のことを考えて寂しくなったのが顔に出たようだ。

しっかりいつも通りに過ごさなければ。

決行は今日の夜。

置き手紙を残しこの家、王都から去る。

もう、王都の人間と会う事は無いだろう。


ソラとの約束はしっかり果たすつもりだ。

平和にして、ソラのもう一つの体をどうにかする。

それを果たしてももしこの殺意が現れるようなら……………

僕はこの世からいなくなるべきだろう。


マイと寝室に入り、マイが寝付くのを待つのだった。

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