第60話魔法祭

劇が終わると拍手と歓声が聞こえてきた。

ここまで盛り上がってくれると恥ずかしいことをしたかいがあったというものだ。


そう思えていたのは数十分の間だけだった。

劇が終わるともう仕事が無いので他の魔法祭のイベントをまわる事になる。

マイは当然一緒だとして護衛対象のレクスも一緒にまわる予定だったのたが魔法祭位仕事を気にせずに楽しめ、と結構真面目に言われた。

僕夏休みとか護衛の仕事ほとんどしてないんだけど……………

これだと職務怠慢だと言われかねないのである魔方陣を渡しておいた。

それはインベントリ内からでも発動する自動防御魔法。

僕の夏休みの一番の成果と言えるであろう魔方陣だ。

もう一個成果と言えそうなものがあるのだが本当に動くのか確かめることが出来ない。

流石に危なすぎるからだ。

というかこれを使う状況に会いたくない。


このことはおいといて自動防御の魔方陣についてだ。

これには新たに開発した技術が3つほど使われている。

1つ目は危険を感知し自動で発動すること。

2つ目は魔方陣の組み合わせ。

3つ目は常時発動。

1つ目については防犯カメラをイメージしたら簡単に出来た。

しかし、2つ目、3つ目が無いと全くといって言い程役に立たない。

なぜなら危険を感知するためにはずっと魔力を込め続けなければならない。

そして危険を察知してもただ発動するだけ。

魔法が発動するわけではない。

言わば電球が無いのに電気をつけようとしているのと一緒だ。

そこで必要なのが2つ目の魔方陣の組み合わせだ。

他の魔方陣と歯車のように組み合わせることでその魔方陣の魔法を発動出来る。

しかし、その時にも魔力が必要なのだ。

継続して魔力を削り続けた後に魔法を撃つ魔力が残っていることはほぼ無いだろう。

そこで活躍するのが3つ目の常時発動。

周囲の魔力を勝手に集めて発動してくれる魔方陣だ。

それも組み合わせることで常時発動することが出来る。

それの応用で周囲から魔力を集めて魔方陣を起動する魔力を集める魔方陣も出来、それも組み合わせることで完成した。


欠点を上げるとするならインベントリ内からだと少し防御力が落ちること。

8割くらいになっていると思う。

それについては詳しくは分からないけど、インベントリ内の魔力は少し少ないのではないかと考察している。


これを渡しておくことで一応仕事をしたことにする。

ただの自己満足かもしれないけど。

当然マイには常に持たせている。

まあこれを機にレクスにも常時持っておいて貰うことになるだろう。


説明が長くなってしまったがそのせいというかおかげというかマイと2人でまわる事になる。

それまでは良かったのだが……………

「おっ!ラクスとミアじゃん。劇良かったよ!これサービス」

そう言って客の呼び込みをしている人が僕達に話し掛けてくる。

これは何度目だろうか。

もう数えるのが嫌になるほどあった。

ちなみにラクスとミアというのは僕とマイが演じていた人の名前。

どの店によっても一個サービスと言われる。

無料で貰えるのは良いのだが、これだけ言われるとこんな多くの人に見られていたということを実感して恥ずかしくなる。

これならお金を出して買う方がよっぽど良い。


明日も魔法祭が続くことに不安を覚えるのだった。

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