第56話護衛の仕事?

時は流れて後1週間もすれば夏休みが終わる頃。

珍しく護衛の仕事があるらしく王城のレクスの部屋の前にいる。

いつもはレクスからこちらに来るので不思議に思うが、その道中の護衛がいないのだからこの方が良いに決まっている。

1度レクスにも言った事があるが結局家に来てた。

その話はおいておいて隣にはマイもいる。

何でもローゼがマイと話したいらしい。

ノックすると中から入って良いとの声が聞こえた。

入ってみると、必死に机で何かをしているレクスとそれを困ったように見てるローゼがいた。

「どういう状況?」

「こんなに溜めておくのがいけないんですわ」

……………まさか!

「僕を呼んだのは宿題を手伝わせるためか?」

「ああ、頼む」

「えぇ……………」

「嫌でしたら辞退しても良いのですよ?その代わりレクスの宿題が終わるまでマイさんは借りますけど」

「喜んでやらせて頂きます」

これ辞退させる気無かっただろ。

少しでも速くレクスの宿題を終わらせなければ。

「あら?冗談でしたのに」

いや、顔がマジだったんだよ……………


こうして僕はレクスの宿題をつきあう事になった。

その間ローゼとマイは話すらしい。

いわゆる女子会というものだろうか。

2人だから会と言えるかは分からないけど。

ローゼとマイは別室で話すらしくレクスの部屋を出て行った。


「ところで後どれ位残ってるんだ?」

「後3分の2程だ」

「今まで何してたんだよ」

「私も王子という立場上忙しいのだ」

「言い訳にしか聞こえないんだけど」

「そういうお前はどうなんだ?」

「え?もう終わってるけど?」

このセリフ前世で言いたかったな~。

「ちなみにいつ終わった?」

「夏休み始まって4日目位には終わってたな」

「……………聞かなかったことにしよう。

さっさと終わらせるぞ」

「何でこの状況で上から目線なんだよ……」




ここは王城の客室。

無人だったその部屋にローゼとマイが入ってくる。

「さあ、座って」

先に入って座ったローゼがマイにも座るように言う。

「失礼します」

緊張している様子のマイだが言われたように座る。

座るとすぐに高級な事が分かる程心地良い柔らかさだったがマイの緊張は解けない。

「そう緊張しないで。ため口でも良いのよ?」

「そんなこと出来ませんよ」

「そう?貴方の旦那様なんてレクスにため口なのよ?」

「まだ結婚してません!!」

「良かったわ、緊張が解けたようね」

どうやらローゼはマイの緊張を解こうとしていたようだ。

「それで、いつ結婚するのかしら」

「それがまだ決まってないんです」

「どうして?あの感じだったら今すぐでもおかしくないのに」

その言葉に少し赤くなるマイ。

「以前両親から早く結婚するように言われて話したんですけど自分達のペースでいこうと言われて結局決まってないんです」

「その状況危ういわよ」

「え?」

「浮気してるかも……いや、それはないわ。あの様子だったし。……でも誰かにとられるかもしれないわよ」

真剣な顔でそう言うローゼ。

「どうしたら……」

「そうね。結婚がまだ早いって思うんなら婚約しちゃいなさい」

「婚約ですか?」

「そうよ。付き合っている人よりも婚約者の方が浮気されにくいわよ」

「そうなんですね。でも何でそのようなことを知ってるのですか?」

「こう見えて私恋愛小説好きなのよ。その中に浮気とかも出て来るけど浮気されるのは大抵婚約してない人よ」

「私も読んだ方が良いでしょうか?」

「う~ん……………貴方は読まない方が良いんじゃないかしら。貴方達が別れることは無いと思うし」

そこでマイが気づく。

「もしかしてからかっていたんですか?」

だとしたら真剣に考えてた自分が馬鹿に思えてくる。

「100%からかってた訳では無いわよ。浮気される可能性をより0に近づけたいなら婚約したほうが良いという話」

「そうだったんですね。ありがとうございます」

「じゃあ本題に入るわよ?」

「本題ですか?」

「こうして女子が集まったら話すことはあれしかないでしょ?」

「あれ?」

「ラブコメよ。ということで馴れ初めを聞かせなさい」

「え?いや、えっと……………」

「あら、可愛い、照れちゃって」

この後マイも抵抗したが結局押し切られ話すことになった。

恋愛小説好きなローゼとしては大好物の話であり色々なところを詳しく聞いていた。

ひとしきり喋り終えたマイは

「私も馴れ初め聞きたいです」

と言い出した。

「え?いや、私のは聞いたって面白くないわよ?」

「聞きたいです」

形勢逆転と言わんばかりに聞き出そうとするマイ。

先に折れたのはローゼの方だった。

「私がレクスに会ったのは5歳の頃ですわ。私の家が高位な貴族ということは知っているでしょう?それで家族全員を王城に招待して貰ったの。他にも呼ばれている貴族はいましたけど子供は私とレクスしかいませんでしたの。成り行きで2人で遊ぶことになってのですがそこで婚約の話を出されましたの。理由を聞いても直感としか言われなくてお返事は保留にさせて頂きましたの。すると後日レクスから手紙が届きましたの。内容は世間話でしたわ。返さないのは失礼だと思い返すとまた手紙が届く。それが続く内に段々仲良くなって私個人が王城に招待されましたの。そこで告白されて今に至りますわ」

こうして馴れ初めを話し終わった後も会話は続いていった。

途中で運ばれてきた昼食を食べてからも会話は続き夕方になる頃部屋がノックされる。

ローゼがどうぞと言うと疲れた様子のレクスとカイが入ってきた。


~カイ視点~

「あら、終わりましたの?」

「ああ」

「これに懲りたらちゃんと計画的にやることですわ」

何だろう前世の僕に言われている気がする。

よく親に言われていたなと懐かしく思う。

もう時間も遅かったので僕とマイは家に帰るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る