第14話凄く急に決まりました
初めは魔法の練習という名目で会えるということで引き受けたのだが、待っていたのは1週間の同居生活。
気まずいったらありゃしない。
まだ幼馴染みとか付き合ってるならまだ良いだろう。
ただ僕達は昨日会ったばかり。そんなに親しくなっているわけではないのだ。
マイの母親に文句を言いたいところだが、嬉しいという気持ちも少なからずあるので言えない。
そんなわけでマイを引き連れて家に帰ってきました。
「立派ですね。」
「レク…………王子様が用意したものだからね。」
「そうなんですね。」
ダメだ。会話が繋がらない。少しの間沈黙が流れる。
「とりあえず中に入ろうか。」
「あ、はい。」
こうして家に入ったんだけど、
「お、ようやく帰ってきたな、カイ。待っていたぞ。それと、彼女をもう家に連れて来たのか?」
そこには勝手に家に入ってくつろいでいたレクスがいた。
「おい、勝手に入るなよ。それとマイはマイの母親が勝手に………」
あ、これ言っちゃまずかったかも。レクスがニヤついてるよ。
「ほう、もう親に挨拶までしているのか。早いじゃないか。」
「違うって!!」
「どこが違うのだ?女を家に連れ込んだ時点で怪しいだろう。」
「ぐっ!」
「ハハハ、やはり面白いなお前。
だが、ここに来たのはお前をイジる為じゃない。」
「何かあったのか?」
レクスが勝手に家に入ってきたのは初めてだ。何かあったのだろう。
「ああ、前に言ったことがあるが王国内と友好国を巡る旅を明後日から行くことになってな。急だが当然お前も着いてこないといけない。」
「本当に急だな。ただそうなると魔法の練習は無理だな。ごめんな、マイ。また今度教えるわ。」
そう旅に行くなら魔法の練習は出来ない。そう思ってマイに謝ったのだが反応がない。
ていうか固まってる。そんなマイを気にせずレクスがとんでもない案を提案してきた。
「別に1人くらい同行者が増えても変わらん。連れていきたいなら連れてくれば良い。」
これは本格的に彼女だと思ってやがるな。
そう思っているとやっとマイが動き出した。
「あ、あの……えっと……マイ=スタールと申します。」
なんか緊張でガチガチになってるな。
「そうかしこまるな。カイと同じように接してくれ。」
「は、はい。分かりました。」
いや、接し方変わってないよ?
それは置いておこう。
「どれくらい掛かるんだ?」
「2週間弱だな。本来は2カ月間かけて旅をするんだが、魔法学校に通う事になっているため本来の時期に行くためには学校を休まなければならない。そこで二回に分け旅をすることになったのだ。」
「後1回はどこで行くんだ?」
「予定通りにいけば長期休暇中だな。」
なるほどな。学校を休まずに旅をするには2回に分ける方が都合が良いのか。
ただ2週間弱かかるとすると……………
「マイはどうする?一緒に行くか?」
「えっ!!」
どうしようとマイは考える。着いていけば予定よりも長くカイといられる。
ただそれは王子様と一緒に過ごす事にもなる。
かといって着いていかなければ次にカイと会えるのがいつか分からなくなる。
母親に誰かにとられるかもと言われいたのもあり、それは耐えられない。
「行きます。ただお母さんにも説明しないと。」
「ふむ、なら私も行こう。元はと言えば私が旅をしないといけないのが原因だからな。」
「じゃあまだ店やってるだろうから行くか?」
そういう流れでまたスタール亭に来た。
「いらっしゃい。あら、マイにカイ君と……
レ、レクス様!!」
レクスが来てびっくりしたのか声が大きくなったことで周りも気づき皆固まってる。
「皆楽にしてくれ。今日はどちらかというと私的に来ているからな。」
それでもなかなか動き出さない。
「すまないが個室を準備してくれないか?」
「は、はい。分かりました。」
「それと話があるので着いてきてくれ。」
「わ、分かりました。」
そして、個室が用意され、レクスと僕が横に座りその対面にマイとその母親が座っている。
「そ、それで話と言うのは?
……………もしかしてもう結婚することになったんですか?」
これはやばい。レクスが勘違いするやつだ。
「やはり、そこまで進んでいたのか。さすがだな、カイ。」
「だから…………」
その言葉はレクスによってさえぎられる。
「残念ながらそのことではありません。ここに来たのは……………」
そしてレクスが来た理由を説明する。
「なるほど。つまり娘がカイ君といる時間が長くなるということですね?そういうことなら大歓迎です。」
もっと身の心配とかしようよ。と思っていると
「カイ君がいたら身の危険もないでしょうし。」
あ、ちゃんと考えてました。
「ええ、カイの強さは私が保証します。
それと2週間も一緒にいたら仲が進展することでしょう。」
「そうでしょうね。マイ、頑張りな。」
「えっ、あ、うん。」
こうして僕とマイはレクスの旅に着いていく事が確定した。
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