僕、最強の勇者になれるみたいです
しょうわな人
第1話 僕の名前は只のロウト
産まれた時は両親からものすごく喜ばれて愛されてたらしい。でも物心つく前に僕の技能が訳が分からないものだったから、離れに追いやられて乳母としてついてくれた今の
そんな僕も十二歳となり義母と共に屋敷を追い出された。
僕には一人の弟と二人の妹がいるらしいけど会った事は無いんだ。
「さあ、ロウト様、参りましょう」
「うん、
義母はずっと僕に丁寧語で話しかけてくるけど、僕は義母の事を信頼を込めて
十二歳ならギルドに登録出来る年齢だから僕も登録するつもり。
勿論だけど食料確保が第一だから食材ギルドにハンターで登録するんだ。義母さんは危ない事は止めて下さいって言って止めるけれども、街で生活していく為には食を自分で取れた方がいいよね。
買うとそれなりに高いんだから。
僕の本当の両親は僕と義母さんを追い出す時にせめてもの情けだと言って金貨二枚、銀貨五十枚、銅貨百枚と街に住むための家を用意したって言ってた。今はその家に向かってるんだけど、街の中でも随分と南門に近い場所に家はあるみたいだ。
街の南側は五百メートルしか離れてない場所に魔物の住む森があって、特別な門がついているけれどもその門も二十年前には魔物によって壊された事もあるらしいんだ。
そんな危ない場所に僕たちを住まわせるなんて両親はよほど僕の事がキライなんだと思ったよ。
「ロウト様、コチラが今日からお住まいになります」
義母さんが指し示した場所にあったのは小屋というには大きく、家というには小さいぐらいの建物だった。
でも元々義母さんと住んでたのは離れの一部屋だったからこの大きさなら前より広いぐらいだ。
「さあ、私は中を確認して掃除をします。ロウト様はこちらをお持ちになってどうぞ登録に行ってきて下さいませ」
義母さんはそう言って僕に銀貨二枚を渡す。ギルド登録は銀貨一枚の筈だけど? と思い一枚を義母さんに返そうとしたら
「そちらの銀貨で装備を整えて下さいませ」
とニッコリ微笑んで言われてしまった。そう言えば僕は登録ばかりに気を取られて装備については何も考えてなかったよ。
中古の装備品なら銀貨一枚でお釣りが出るって教えてくれたのは離れにいつも食材を持ってきてくれてたローンという庭師だった。
元々は食材ギルドのハンターだったそうだけど、安定した仕事につきたいって庭師に転職したそうだよ。
僕や義母さんに何の偏見もなく主筋だと言って敬ってくれてたっけ。僕の推測ではあるけど、ローンは義母さんの事が好きだったんだと思う。
だって僕たちが屋敷から出る時に近い内に会おうなんて言ってたからね。ローンも庭師を辞めるつもりじゃないかな? 多分だけどね。
で、僕はいま食材ギルドにやって来ている。ハンターで登録をしたいと受付のオジサンに言うと、十二歳では仮登録になって、ベテランハンターの雑用係を3年間
それでも良いですと僕が返事をしたら、登録料は銅貨五十枚だって言うから銀貨一枚じゃないんですか? と確認したら
「十二歳の仮登録は半分の銅貨五十枚なんだ。大人つまり成人を迎えた十五歳だと銀貨一枚だけどね。もちろんだが、3年間真面目にベテランハンターについて学んだら本登録するけど、その時には登録料はいらないからね。雑用係を引き受けた時点でギルドに貢献した事になるから、本登録の時はギルドからお祝いとして金貨一枚を手渡す事になるんだ。だから途中で挫けずに頑張って」
「はい! 頑張ります! あのそれで装備品とかは?」
「ああ、それはどのベテランハンターにつくかによって変わるだろうから、ロウトくんの師匠が決まるまでは買わない方が良いと思うよ」
「分かりました!」
「明日から朝9時にギルドに来るといい。ロウトくんの師匠になっても良いというベテランハンターがいたら顔合わせをしよう」
「はい、有難うございます。朝9時には来ます!」
僕はそう返事をしてギルドを後にした。どうやら僕の師匠になってくれそうなハンターさんがいたら顔合わせをして、向こうが僕を見て気に入らなければ
その為の顔合わせらしいよ。
僕が家に帰って義母さんにその事を話すと
「ロウト様、しっかりと見て慎重にお決めになるのですよ」
って心配そうに言ってくれたよ。僕は分かったよ、義母さんって返事をしたんだ。
翌朝、僕は時間に遅れないように早めに家を出てギルドに向かった。昨日の受付のオジサンが居たのでおはようございますと挨拶をすると、
「おはよう、ロウトくん。早いね。それじゃ会ってみるかい? 既に昨日の晩の時点で二人のハンターが顔合わせしたいって言ってるんだ」
「はい、お願いします!」
僕の返事を聞いて受付のオジサンが部屋へと案内してくれた。部屋で待つこと5分、オジサンが一人の女の人を連れてきた。
「あら〜、可愛い子じゃない。どう? ハンターなんて止めてお姉さんの奴隷にならない?」
僕は即座に受付のオジサンに言った。
「お断りします」
「うん、だよね……」
「ちょっとーっ、何よ!!」
お姉さんには退場してもらったよ。次に来たのはゴツい身体をしたおじさんだった。でもそのおじさんは僕を見るなり、
「うん、すまんが坊主の面倒は見れん。悪いな」
と言って部屋を出て行ったんだ。
「あの、僕が何か悪かったんですかね?」
「いやロウトくんは悪くないよ。多分だけどアイツはスキルを使ってロウトくんを見たんだろう。そこでロウトくんの素性を知って止めたんだね。あ、勿論だが私もロウトくんの素性は知っているよ。ロウトくんの生家からギルドに通達があったからね。だけど各ギルドは領主の傘下にある訳じゃないからそんな通達は無意味だから安心していいよ。ただハンターたちはこの街に住む住人でもあるから、なかなか領主に逆らえない部分もあるんだ、察してやって欲しい。ギルドとしてはハンターたちは守るって言ってるんだけどね……」
受付のオジサンにそう言われて僕は両親が僕と義母さんが生活できないように手を打ったのを知ったんだ。それでも諦めずに毎朝9時には僕は師匠となってくれる人を求めてギルドに通った。
でも僕の師匠となってくれるベテランハンターは居なかった。そんな日が10日も続いてさすがに諦めようかと思ってたら、僕の師匠が11日目に決まったんだよ!
そう! 受付のオジサンに!!
って言うのは冗談だけどね。でもホントに師匠が決まったんだ。これで3年間、師匠の元で雑用をこなしながら学んでハンターになる事が出来る!
僕の師匠になってくれたのは……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます